第39話 瑛斗2

文字数 783文字

「は?何で?」

「みーんな用事ができちゃって」

「…ウソだろ」

「うん、ウッソー。2人だったら瑛斗来ないと思って。はい、乾杯!」

全く悪びれず、彩奈はジュースの入ったコップをオレのコップに軽く合わせて飲んだ。

「…なんでウソなんかつくんだよ」

「好きだから」

「は?」

「『は?』はないでしょ、言ったじゃん、前に好きだって。」

「ああ…でもさ、断った、よな?」

「私は断られたって思ってないよ?わかんないみたいな感じだったでしょ、友達としてって。だから、保留なんだなって思ってあきらめてなかった。あれから友達として仲良くはしてきたよね?」

「…ああ、まぁ…」

「それでさ、わかった?どう?私と付き合えそう?」

隣に座ってる彩奈が、顔をぐっと近づけてきた。

「えぇっ…急だな」

言いながら彩奈と反対側へ少し移動する。

「もうさー、決めてよー。私だってずーっとガマンして友達やってるんだよ?」

彩奈がオレの肩を軽く叩いた。

「ガマンて…友達じゃ、ダメなわけ?」

「ダメだよ、好きなんだから」

「…そんなこと…言われても…」

「他に好きな人、いるの?」

「えぇ?…いないけどさ…」

「じゃ、さ、私のこと好きか嫌いか、どっち?」

「どっちって…どっちかで言ったら…好きだけど…」

「じゃ、いいでしょ!」

また彩奈が近づく。

「決め手が…」

またオレは離れる。

「じゃ、さ、運命にかけよう!」

「どーゆーこと?」

「ジャンケンね!あたしが勝ったら付き合って!」

「えっ!?ちょっと待っ…」

「ジャンケン、ポン!」



思わず出した、パー。

彩奈は、チョキ。


「運命だねっ!」

そう言って、彩奈は笑って、オレの首に両腕で抱きついた。

流される。

まぁ、いっか、とも思う。

彩奈のことは嫌いじゃない。

恋人になれる可能性はある。

けど、紗也とは無理。
どうしたって無理なんだから。


そんな思いで、彩奈を抱きしめ返した。

そしたらその瞬間、ホントに運命が動き出した気がした。



ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み