第16話 紗也①

文字数 508文字

瑛斗は私の前に立って、来る敵をなぎ倒して守ってくれるヒーロー。

佑樹は私のそばに立って、手をひいてこっちだよ、って逃がしてくれる王子様。



そんな二人が、好きだった。



佑樹はいつも欲しい言葉をくれる。

瑛斗は言葉は不器用でも、行動で示してくれる。



そんな二人が、好きだった。




3人でいるのが、好きだった。





小さい頃、どうして私も男の子に生まれなかったんだろう、って悔しい思いをしてた。


それは、お母さんが佑樹と瑛斗を私のナイトだと言ったからだ。


確かに、私がいじめられていると、いつも二人が助けてくれた。
けど、私は二人に守られるだけの存在じゃない。

そう思ってた。

二人と対等でいたかった。
だからどんな遊びにもついていった。
もちろん楽しかったからっていうのが1番の理由だけど。


小学校に入学したとき、3人同じクラスで嬉しかった。

けど、3人でいられたのは1年生の時だけ。

それに気がついたのは、ずっと後のことだったけど。

瑛斗はミニバス、私は金管バンドを始めた。

こうしてバラバラになっていくんだなって何となく感じてたとき、佑樹も金管バンドを始めた。

佑樹の存在が、まだ私たち3人をつないでる気がした。

だからずっと、離れても特別だった。

瑛斗のことも。





ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み