第12話 瑛斗⑦

文字数 757文字

中学生になった。

オレたち3人、見事にバラバラになった。

紗也は吹奏楽部に入って、佑樹は陸上部、オレはバスケ。

バラバラになっても、紗也と佑樹が一緒にいるのを見かけた。

紗也の部活のコンサートに行く佑樹と一度ばったり会った。

「瑛斗も行く?」

「…いやー、オレはいーや、部活だし。音楽とかよくわかんねーし」

「そっか、じゃあな」

佑樹と別れて部活へ向かった。

ここのところ、みんなが噂してた。
佑樹と紗也は付き合ってる、って。

けれど、オレはそうは思わなかった。
オレたち3人の関係を知ってれば、そんな風には思わないだろう。

部活に行くと、学校の前に女子バスケ部の彩奈(あやな)がいた。

「おはよ!」

「おー」

「…あのさ、今日、部活終わったら、ちょっと話したいんだけど」

「何?」

「終わったら」

「え、何?今じゃダメなの?」

「うーん……まぁ、いいか」

「うん、何?」

「あのさ、瑛斗って、彼女いる?」

「え…いないけど」

「…じゃ、さ、あたしと付き合ってくれない?」

「え、なんで?」

「なんでって…バスケしてるとこ見て、かっこいいなって」

「でも彩奈のことそんなによく知らないし…名字、なんだっけ?」

「えっ…ふつーにショックなんだけど…」

「あっ、ごめん!オレ、付き合うとかよくわかんねーんだよな、女子の気持ちも全然わかんねーし」

「そーなんだー。まぁ、確かによくは知らないよね、あたしもかっこいいから好きだな思っただけだし…じゃ、さ、とりあえず友達として仲良くしよーよ!」

「うん、それなら全然いーよ、友達大歓迎」

「なんか、瑛斗って、思ってたのと違うかもー」

「えー?」

「もっとかっこいいかと思ってた」

「何だよそれー」

二人で笑った。
彩奈とは二人きりで話したことはなかったけど、なんでもけっこーハッキリ言うし、女子っぽくなくて面白いやつだなと思った。


紗也とは違うな、と思った。



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