第19話 紗也④
文字数 793文字
クラブの日だけは瑛斗と帰るようになった。
けど、瑛斗のことを好きな友達もいる。
みんなの噂にならないように、少し距離をあけて並んで帰る。
もうすぐ、バレンタイン。
瑛斗に特別にあげようか。
そう思ってたんだけど。
「ねー、紗也ちゃん、一緒にチョコ買いに行こー!」
そう言ったグループの中には、瑛斗のことが好きだという子もいた。
駅前に新しくできたお菓子屋さんに私たちはチョコを選びに行った。
「ねぇ、ちょっと高いよね、スーパー行く?」
「でもさ、本命だよー?」
「え?本命?」
友達の会話に思わず言った。
「え?でしょ?紗也ちゃん、違うの?」
「私は……」
佑樹にもあげたいし、瑛斗には特別にあげたい。
けど、そんなこと言えない。
「毎年、義理チョコあげてるから…あの、お父さんにも!だから、スーパーのでいーかな」
「そっか~、お父さんのね~!忘れてたー」
結局みんな、高いのだとお返しも困るかもねとか言い合ってスーパーで買うことにした。
みんなに何も言われないように、瑛斗のも、佑樹のと同じのにした。
毎年あげてたのに、瑛斗にあげるのが今年はなんだか緊張するから、先に佑樹の家に行った。
瑛斗の家に行くとき、なぜか佑樹もついて来た。
同じのにしといて良かった。
3月のホワイトデーには、佑樹からかわいい動物のマシュマロをもらった。
瑛斗からは、キャンディだ。
前に聞いたことがある。
キャンディみたいに口の中に残る物は、「好き」ってことだって。
その日は机の上にキャンディの入ったビンを眺めては口元がにやけて、机に顔を伏せて足をバタバタさせるのを1人で繰り返してた。
翌日、学校で、お返しもらった?どうだった?
という話になり、瑛斗にあげた友達はキャンディをもらったと言った。
…なんだ、みんな同じか。
そーだよね。
瑛斗がそんなこと知ってるわけないか。
なーんだ。
なんだ。
特別じゃ、ないんだ。
昨日上がっていた気持ちが果てしなく沈んでくのがわかった。
★
けど、瑛斗のことを好きな友達もいる。
みんなの噂にならないように、少し距離をあけて並んで帰る。
もうすぐ、バレンタイン。
瑛斗に特別にあげようか。
そう思ってたんだけど。
「ねー、紗也ちゃん、一緒にチョコ買いに行こー!」
そう言ったグループの中には、瑛斗のことが好きだという子もいた。
駅前に新しくできたお菓子屋さんに私たちはチョコを選びに行った。
「ねぇ、ちょっと高いよね、スーパー行く?」
「でもさ、本命だよー?」
「え?本命?」
友達の会話に思わず言った。
「え?でしょ?紗也ちゃん、違うの?」
「私は……」
佑樹にもあげたいし、瑛斗には特別にあげたい。
けど、そんなこと言えない。
「毎年、義理チョコあげてるから…あの、お父さんにも!だから、スーパーのでいーかな」
「そっか~、お父さんのね~!忘れてたー」
結局みんな、高いのだとお返しも困るかもねとか言い合ってスーパーで買うことにした。
みんなに何も言われないように、瑛斗のも、佑樹のと同じのにした。
毎年あげてたのに、瑛斗にあげるのが今年はなんだか緊張するから、先に佑樹の家に行った。
瑛斗の家に行くとき、なぜか佑樹もついて来た。
同じのにしといて良かった。
3月のホワイトデーには、佑樹からかわいい動物のマシュマロをもらった。
瑛斗からは、キャンディだ。
前に聞いたことがある。
キャンディみたいに口の中に残る物は、「好き」ってことだって。
その日は机の上にキャンディの入ったビンを眺めては口元がにやけて、机に顔を伏せて足をバタバタさせるのを1人で繰り返してた。
翌日、学校で、お返しもらった?どうだった?
という話になり、瑛斗にあげた友達はキャンディをもらったと言った。
…なんだ、みんな同じか。
そーだよね。
瑛斗がそんなこと知ってるわけないか。
なーんだ。
なんだ。
特別じゃ、ないんだ。
昨日上がっていた気持ちが果てしなく沈んでくのがわかった。
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