第50話

文字数 605文字

「ディサイシジョン……」

 ジークは薄れる意識の中、雨のように放たれる光弾が、次々と龍を屠っていく光景を見ていた。

「なんて豪胆……いや開き直った連中だ……」

 下方への攻撃など当たり前と言わんばかりに、街に被害を出しながらも、凄まじい効率で龍を討伐していく。

 何者かの助太刀ということはジークにも理解できた。そして、その組織と自分達とでは、決定的に価値観と、組織の在り方が違うのだと痛感した。

 龍伐隊の目的は国民と国土を守ることである。

 だが彼らの目的は龍の討伐、殲滅、撃滅だ。少なくともジークにはそう見えた。


 ラインハルトの撤退。ヨハンの討伐。そして自らを単騎で、遠距離から、容易く葬る部隊の登場に、龍の士気は一気に下がり、撤退を開始した。

「撤退していく……」

 スレイは安心したが、街を巻き込んだディサイシジョンの攻撃は止まらなかった。

「よし! ボーナスタイムだ! 狩れっ!」

 ディサイシジョンの長、コンドウが叫ぶ。若い部隊員達が我先にと、沿岸部へ逃げる龍を追う。

「待ってました!」

 黒いブレス・ライフルの引き金を一度引き、少しして離す。そして再び撃発。放たれた光弾は龍の胴体を一撃で貫き、命を奪う。貫通した光弾は廃墟へ着弾し、爆炎を生じさせる。

 射手は水平射撃の反動をサマーソルトキックの要領で身体を回転させて逃がしていた。他の射手も同様に、撃っては回り、撃っては回りを繰り返し、逃げる龍を次々と撃墜していく。
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