第28話
文字数 1,091文字
「ジーク様、靴を脱いで上がってください」
「わか……りました」
ユキヅキと二人きりになれたが、いつ誰が入ってくるか分からない状況で、色々と問い詰めるわけにはいかない。
「なぜ、俺にファンタズマを渡した」
だから俺は、聞かれても困りにくそうな質問から処理することにした。
「私の目的の為に、必要なことだからです」
ユキヅキは真っすぐと俺を見つめて、そう答えた。
「必要なこと……か」
「……」
「なぜ昨日、俺を助けたんだ」
「……目的の為です」
「いよっ!! って取り込み中?」
筋骨隆々の大男が入ってきた。
「あ、貴方は……」
「あー! 血だらけ少年! 久しぶりっすね! 元気でよかった!!」
「確か、カクライ、さんですよね」
「よく覚えてるっすねー。そう、俺はグラディア隊の隊長補佐官。カクライっす!」
そう言って彼は俺の背中を叩いた。お近づきの印なのだろうが、すこぶる痛い。
「補佐官って、何人かいるんですね」
「そりゃね。バックアップのバックアップまで用意するのが、常識っしょ」
軽いノリの男だが、本質を捉える頭はあるようだ。でなければ補佐官にはなれないか。
「もう一人いるっすけど、暗い女でね。サクヤっていうんすけど、今忙しくて出てるっす」
「なるほど。じゃあご挨拶はまたの機会ですね」
「しょゆこと……っと、隊長~!」
道場にスレイ隊長が入ってくる。
「あんたね! 人集めろって言ったわよね!?」
「あ! いやー、例の彼ってのが気になって、つい……てへへ」
「マッチョのてへへほどかわいくないものはないわ。全員通達は流してるから、まぁ集まるとは思うけど」
「すんません」
「あの」
手を挙げる。
「どうぞ、ジークくん」
「これから何が始まるんです?」
「そりゃもうダイサンジ……」
「私と組手」
「ダイサンジタイセンだ」
「の前にコイツの腕を折る」
「隊長!! 待って!」
思っていた以上に明るい雰囲気で驚いた。ユキヅキも混じって普通に笑っている。
「うーっす」
屈強そうな連中がどんどん集まってくる。ビールを持っている奴もいて、まるで喧嘩を見に来たヤンキーの様になっていた。更に、オッズが書かれたプレートを持って集金する者もいる。俺のオッズは二十二倍。対するスレイ隊長は一コンマ一倍だ。ざっと二十倍である。
「おれ! 新入りに賭ける度胸のあるやつはいねーのか!?」
「んじゃ、一発ぶっこみますか」
カクライ補佐官がまとまった札束を俺の方へぶち込んだ。どうなっても知らないぞ……。
「おうおうっ! この新人はファンタズマを使って、二分で龍を四頭殺した男だぜっ!? こいつに賭けなきゃ男じゃねぇ!」
彼の言葉にいくらかの人が突き動かされた。
「わか……りました」
ユキヅキと二人きりになれたが、いつ誰が入ってくるか分からない状況で、色々と問い詰めるわけにはいかない。
「なぜ、俺にファンタズマを渡した」
だから俺は、聞かれても困りにくそうな質問から処理することにした。
「私の目的の為に、必要なことだからです」
ユキヅキは真っすぐと俺を見つめて、そう答えた。
「必要なこと……か」
「……」
「なぜ昨日、俺を助けたんだ」
「……目的の為です」
「いよっ!! って取り込み中?」
筋骨隆々の大男が入ってきた。
「あ、貴方は……」
「あー! 血だらけ少年! 久しぶりっすね! 元気でよかった!!」
「確か、カクライ、さんですよね」
「よく覚えてるっすねー。そう、俺はグラディア隊の隊長補佐官。カクライっす!」
そう言って彼は俺の背中を叩いた。お近づきの印なのだろうが、すこぶる痛い。
「補佐官って、何人かいるんですね」
「そりゃね。バックアップのバックアップまで用意するのが、常識っしょ」
軽いノリの男だが、本質を捉える頭はあるようだ。でなければ補佐官にはなれないか。
「もう一人いるっすけど、暗い女でね。サクヤっていうんすけど、今忙しくて出てるっす」
「なるほど。じゃあご挨拶はまたの機会ですね」
「しょゆこと……っと、隊長~!」
道場にスレイ隊長が入ってくる。
「あんたね! 人集めろって言ったわよね!?」
「あ! いやー、例の彼ってのが気になって、つい……てへへ」
「マッチョのてへへほどかわいくないものはないわ。全員通達は流してるから、まぁ集まるとは思うけど」
「すんません」
「あの」
手を挙げる。
「どうぞ、ジークくん」
「これから何が始まるんです?」
「そりゃもうダイサンジ……」
「私と組手」
「ダイサンジタイセンだ」
「の前にコイツの腕を折る」
「隊長!! 待って!」
思っていた以上に明るい雰囲気で驚いた。ユキヅキも混じって普通に笑っている。
「うーっす」
屈強そうな連中がどんどん集まってくる。ビールを持っている奴もいて、まるで喧嘩を見に来たヤンキーの様になっていた。更に、オッズが書かれたプレートを持って集金する者もいる。俺のオッズは二十二倍。対するスレイ隊長は一コンマ一倍だ。ざっと二十倍である。
「おれ! 新入りに賭ける度胸のあるやつはいねーのか!?」
「んじゃ、一発ぶっこみますか」
カクライ補佐官がまとまった札束を俺の方へぶち込んだ。どうなっても知らないぞ……。
「おうおうっ! この新人はファンタズマを使って、二分で龍を四頭殺した男だぜっ!? こいつに賭けなきゃ男じゃねぇ!」
彼の言葉にいくらかの人が突き動かされた。