第42話
文字数 682文字
「魂さえあればいい。欠片でも残れば……!」
ヨハンは隊舎上空に辿り着いた。ジークが既に中に潜り込んでいたのは目視していた。
ジークは追われていると分かったうえで、大急ぎで隊舎内の保管庫を探して回った。だが空が緑に染まる。
ヨハンは二十数個に及ぶブレスの球体を生成し、ブレスをシャワーのようにして保管庫へお見舞いした。凄まじい破壊の中で、ぼん、と小規模な爆発が、後方を飛ぶユキヅキの目と耳とで確認できた。
「ジーク様!」
青白い爆炎の後、ジークのブレス・ウイングが破壊されたことの証明をするように黒煙が昇る。
「ジーク……」
「そんなぁ~」
「もしかして私達って、同じ部隊になったら全滅する系のキャラ?」
「死神?」
「そうはさせません」
ユキヅキは隊服のボタンに手を掛けて、止めた。もうサインを伝える相手は居ない。今の自分がすべきことは、ヨハンを退けるか、隙を作って王の魂を喰らい、ひとまず場をやり過ごすこと。龍伐隊の装備ではそれらは難しいだろう。
もうユキヅキの覚悟は決まっていた。
「来るかっ! 奥の手が!」
次の瞬間、黒いブレスエネルギーの塊がヨハンの翼一枚を撃ち貫いた。
「なんだとぉ!?」
ヨハンが振り向く。隊舎上空に、黒いブレスエネルギーを纏った男が一人いた。
「ジーク様!」
彼の手には、漆黒のファンタズマが握られていた。
「頼む」
ジークはそう言って、目を閉じる。意識が何かに、いやイオ・ウルフラムに上書きされる。だが、完全な支配ではなく、身体の制御は完全にイオに委ねて、思考はイオと自分の二人で行うことを決めた。
「やはり決着は必要だったか! 王!」
ヨハンが吠える。
ヨハンは隊舎上空に辿り着いた。ジークが既に中に潜り込んでいたのは目視していた。
ジークは追われていると分かったうえで、大急ぎで隊舎内の保管庫を探して回った。だが空が緑に染まる。
ヨハンは二十数個に及ぶブレスの球体を生成し、ブレスをシャワーのようにして保管庫へお見舞いした。凄まじい破壊の中で、ぼん、と小規模な爆発が、後方を飛ぶユキヅキの目と耳とで確認できた。
「ジーク様!」
青白い爆炎の後、ジークのブレス・ウイングが破壊されたことの証明をするように黒煙が昇る。
「ジーク……」
「そんなぁ~」
「もしかして私達って、同じ部隊になったら全滅する系のキャラ?」
「死神?」
「そうはさせません」
ユキヅキは隊服のボタンに手を掛けて、止めた。もうサインを伝える相手は居ない。今の自分がすべきことは、ヨハンを退けるか、隙を作って王の魂を喰らい、ひとまず場をやり過ごすこと。龍伐隊の装備ではそれらは難しいだろう。
もうユキヅキの覚悟は決まっていた。
「来るかっ! 奥の手が!」
次の瞬間、黒いブレスエネルギーの塊がヨハンの翼一枚を撃ち貫いた。
「なんだとぉ!?」
ヨハンが振り向く。隊舎上空に、黒いブレスエネルギーを纏った男が一人いた。
「ジーク様!」
彼の手には、漆黒のファンタズマが握られていた。
「頼む」
ジークはそう言って、目を閉じる。意識が何かに、いやイオ・ウルフラムに上書きされる。だが、完全な支配ではなく、身体の制御は完全にイオに委ねて、思考はイオと自分の二人で行うことを決めた。
「やはり決着は必要だったか! 王!」
ヨハンが吠える。