第14話

文字数 759文字

「おい!」

 そして柄にもなく怒鳴っていた。だが、連中の態度は変わるどころか悪化した。

「ようジーク。ありがとよ、お小遣いくれて。別にいいだろ? 才能が無いお前が初めて人の役に立てたんだからよ」
「アグローの言うとおりね。あなた、訓練学校の頃から邪魔だったのよ。全然役に立たなくて」
「まぁまぁシロナ。さ、ジーク。一緒に飲もうぜ?」
「ははは! おいおいニーシャ、それは冗談キツイぜ」

 こいつらが……俺の人生を滅茶苦茶にした張本人か……!。

「お前ら……」

 俺は拳を握りしめていた。

「いやいやジーク、いいのか? 懲戒に加えて暴力沙汰はまずいだろ?」

 短い金髪で、見るからにヤンキー系のアグローが飄々と語る。

「どうせ仕事も無い。殴っても殴らなくても、俺の未来は変わらない」
「あぁ? 対龍戦闘訓練も、対人戦闘訓練も単位ギリギリレベルのお前が、何言ってんの?」

 そして立ち上がって俺の胸倉をつかんだ。俺は緊張で震えていた。アグローは明らかに喧嘩慣れもしているようだった。

「おいおい! 見てみろよ! コイツ震えて涙目になってやがる! 今までこんな隊員がいたかよ!? お前の不出来っぷりは、龍伐隊の三大七不思議四天王にノミネートされるだろうよ!」

 俺はアグローに引きずられて店外に追い出された。

「ほら、来いよ。店に迷惑はかけたくねぇ。隊舎から近いからな」
「うわああああ!」

 俺は勢いと、感情に身を任せてアグローに殴りかかった。

「ったく。雑魚がよ」

 気が付いた時、俺は空を見上げていた。アグロー一人にボコボコにされて、仰向けに倒れていたのだ。

「雨……」

 俺を笑うように、雨が降ってきた。傷口に染みて、気付けにはなった。いや、強がりだ。

 そしてさっきの公園に戻って、滑り台の下で雨をしのぎながら、声を殺して泣いていた。

 そのうち、寝ていた……。
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