第41話
文字数 785文字
「小娘が!」
わずかな傷。だがヨハンのプライドには大きな傷だった。怒りの感情が駆け巡り、そして一瞬で自らそれを制する。感情の起伏を必要最低限に保つ。だがミホはその“一瞬”に差し込んでいた。
「もらい」
ブレス・サーベルがヨハンの首を捉えようとしていた。
“この娘、足止めではなく、はじめから!”
ミホの狙いはヨハンの首であった。先の口上、そして態度からヨハンはプライドが高く、自身の能力に対し自信以上、過信未満の評価を持っていると確信した。そのうえで、こちらが目的を討伐から足止めに切り替えたと、そう考え切っていると考えた。
「! いけないっ!」
ユキヅキが急加速して割って入る。ヨハンの近くに、放たれていないブレス球体があった。しかしその射線ではミホを撃てば自身の首を撃ち貫くことになる。
だからミホは完全に、その球体に対する意識の比重を最小限に留めていた。
だがその球体は爆発をした。蓄えられたエネルギーが拡散して放出される。その爆発は威力よりも爆風を優先した仕様になっていた。ミホとユキヅキは、ユキヅキが展開したブレス・シールドのおかげで吹き飛ばされただけで済んだ。最も近かったヨハンの外殻には軽微な傷がついた程度で、首を落とされるより遥かにマシな傷だろう。
その時点でヨハンは認識を改めた。彼女たちは本気で自分を殺すつもりなのだと。そして予想以上にうまく動く連中だと。
「心を折るには……」
ヨハンは爆発の余韻が収まらない内に、ジークを追う為に身をひるがえした。
「奴の生首を掲げる!」
「ごめん~」
キセキが謝りながら追う。爆発の混乱が落ち着き始めた時点で、三人の位置はまとまってしまっていた。だから自分が反対側にすぐ回らなければならないと理解していたのだ。だがヨハンの判断の方が早かった。
全力で飛ぶ魔龍に、ブレス・ウイングでは追いつけない。それでも三人は全力で追った。
わずかな傷。だがヨハンのプライドには大きな傷だった。怒りの感情が駆け巡り、そして一瞬で自らそれを制する。感情の起伏を必要最低限に保つ。だがミホはその“一瞬”に差し込んでいた。
「もらい」
ブレス・サーベルがヨハンの首を捉えようとしていた。
“この娘、足止めではなく、はじめから!”
ミホの狙いはヨハンの首であった。先の口上、そして態度からヨハンはプライドが高く、自身の能力に対し自信以上、過信未満の評価を持っていると確信した。そのうえで、こちらが目的を討伐から足止めに切り替えたと、そう考え切っていると考えた。
「! いけないっ!」
ユキヅキが急加速して割って入る。ヨハンの近くに、放たれていないブレス球体があった。しかしその射線ではミホを撃てば自身の首を撃ち貫くことになる。
だからミホは完全に、その球体に対する意識の比重を最小限に留めていた。
だがその球体は爆発をした。蓄えられたエネルギーが拡散して放出される。その爆発は威力よりも爆風を優先した仕様になっていた。ミホとユキヅキは、ユキヅキが展開したブレス・シールドのおかげで吹き飛ばされただけで済んだ。最も近かったヨハンの外殻には軽微な傷がついた程度で、首を落とされるより遥かにマシな傷だろう。
その時点でヨハンは認識を改めた。彼女たちは本気で自分を殺すつもりなのだと。そして予想以上にうまく動く連中だと。
「心を折るには……」
ヨハンは爆発の余韻が収まらない内に、ジークを追う為に身をひるがえした。
「奴の生首を掲げる!」
「ごめん~」
キセキが謝りながら追う。爆発の混乱が落ち着き始めた時点で、三人の位置はまとまってしまっていた。だから自分が反対側にすぐ回らなければならないと理解していたのだ。だがヨハンの判断の方が早かった。
全力で飛ぶ魔龍に、ブレス・ウイングでは追いつけない。それでも三人は全力で追った。