アフター練習問題のページ(次章への橋渡しにもなるよ)
文字数 1,673文字
ル=グウィンさんからメッセージです。
○タイム・ジャンプはなめらかにできましたか、ぎくしゃくしてしまいましたか?
○あなたの考えたストーリーには、
・「一人称」と「三人称」のどちらが合っていましたか?(←バージョン1と2の両方に関して)・「ずっと過去形」と「ずっと現在形」のどちらが合っていましたか?(←バージョン1に関して)
・「〈いま〉は現在形で〈あの頃〉は過去形」と「〈いま〉は過去形で〈あの頃〉は現在形」のどちらが合っていましたか?(←バージョン2に関して)
○2つ(以上)のバージョンで書いてみて、どんな違いがありましたか? または、とくに違いはありませんでしたか?
○あなたは、
・「過去形」で書くのと「現在形」で書くのと、どちらが自分に合っていると感じましたか?
・「一人称」で書くのと「三人称」で書くのと、どちらが自分に合っていると感じましたか?
・そして、それはなぜですか?
~ワンポイント・アドバイス~
小説を読むとき、「過去形か現在形か(時制)」、「一人称か三人称か(人称)」、に注意して読んでみると、役に立つと思います。
その小説の作者が、なぜその時制と人称を選んでいるか。
その時制と人称は、どこがうまく行っているか、どんな効果を与えているか。
時制が替わっているのはどこか、どのくらいの頻度で替わっているか、なぜその交替が必要か。
……などなどに注意して読んでみるといいですよ。
あまり難しいプロットにしなかったのがよかったです。
ヒツジの考えたおはなし、「ある夜の佳代さん」(仮題)。
3バージョン書いてみて、
それぞれ、佳代さんの性格とお歳が違った感じになったのが面白かったです。
どの佳代さんも自分で好きになることができました。
(↑これ、重要だと思いませんか?
ヒツジは以前けっこう、自分の創った主人公が好きになれなくて、作品ごと捨てたりしてました。)
並べてみたら、
2番目の佳代さんが、3人の中ではいちばん若くて、おちゃめな感じがしました。
3番目の佳代さんは、いちばん年取っていて、寂しそうな感じがしました。
そしてじつは、最初に書いたときは、1番目の佳代さんがいちばん好きでなかったのですが、
最後に自分でちょこっと「現在形をピンポイントで混ぜる」という仕上げをしてみたら、いきなりとっても好きになりました!
あえて言うなら、
バージョン1プラスは、歴史小説風。
バージョン2は、シナリオ風。
バージョン3は、(王道)短編小説風。
みたいな語り口になったような気がします。
「〈いま〉を過去形で、〈あの頃〉を現在形で書く」
という逆転パターンが、ちょっと斬新ですよね! そんなことないですか?
書く前は(そんなん無理やろ)と思ってたんですけど、書いてみたら、意外に行けてびっくり。
むしろ自然な感じさえしました。
面白い!
そして、当時はたぶん、本当にそうでした。
小説の前に戯曲(シナリオ)を書いていたので、自然にそうなっていたんです。
裏を返すと、「〈三人称〉で書くのは苦手だ、できない」と、ずーっと思いこんでいました。
ところが、書いているうちに、
「あれ、この作品は〈三人称〉で行けるかも?」
という転機があって、きゅうに自由になれたんです。
いま読んでくださっているかたにも、ヒツジみたいに、
「ぱああ……♪」
ってお役に立つといいなと思って、こうしてがんばってご紹介しているわけなのです。