第4章「くりかえしを楽しもう」

文字数 2,347文字

第4章の教えは、とってもシンプルです。
「くりかえし」を上手に使いこなそう!の巻。
これもアメリカの(欧米の?)「小説ハウツー」あるあるらしいんですけど、「同じ言葉をくりかえし使っちゃだめ」という謎ルール。
(日本ではあまり言われてない気がしますけど……)

たしかに英語のものを読んでいると、例えば、同じおはなしの中で「ミミュラ」のことを指すのに、

「ミミュラ」

「ヒツジ」
「例の管理人」
「ときどきアマビエになっちゃうあの人」
とか、とか、つぎつぎと言い換えていくんですね。
私は単純に「すごいなー」と感心してたんですけど、
このルールぜったい守らなきゃいけないってことはないよ、とル=グウィンさんがこの1章まるまるかけて念を押しているところを見ると、たぶん英語圏では絶対服従ルールで、それがみんなを苦しめているんでしょうね。

 マスコミの人たちや学校の先生たちって、善意からとはいえ、どうしようもなく押しつけがましかったりしませんか。
 あの人たちが勝手に決めて押しつけてくる変なルールのひとつに、「1ページ内で同じ単語を2度使ってはいけない」というのがありますよね。おかげで私たちは必死に類語辞典を引いて、それちょっとどうなのかなという同義語や代替語を見つけてこなきゃなりません。

(『ル=グウィンの小説教室』第4章より)

mimura_akira

やだなー。
ル=グウィンさんのアドバイスはここでも楽しいです。
第1章の「音の響きを楽しもう」に似ています。
「くりかえしを楽しもう!」

同じ言葉を好きなだけくりかえしてみよう。リフレインは詩的だし、民話や伝説を語るときの語り口にもなる。
同じ出来事をくりかえしてみよう。「三匹のクマ」は、同じハプニング、同じセリフがくりかえされるからこそ面白い。
(「三匹のこぶた」「三匹のヤギのがらがらどん」もそうですよね! byヒツジ)
でね、ここでル=グウィンさんいきなりチャールズ・ディケンズの引用を始めるんです。
三匹のクマのつぎにディケンズ?!
ヒツジはディケンズってまだ一度も食べたことがありません。
インクがたくさん染みこみすぎてて、おなかをこわしそうで……(ほんとに食べちゃだめだぞ私よ)

ディケンズさんの長編大河小説の一つに、「なんとかなるさ」っていうのが口ぐせのキャラクターが出てくるんですって。でもその人がちっともなんともならないので、その言葉を聞くたびに笑えてきたり、気の毒になったり、さまざまに意味合いが変わるらしいです。(『デイヴィッド・コパフィールド』のミコーバー氏)
ディケンズって性格悪い?!
と思ったけど、ウィキペディアで見たら主人公デイヴィッドは超~紆余曲折のすえに理想の女性と結ばれて、ハッピーエンドらしいので、オッケー。←無責任
ということで、もう練習問題行っちゃいましょうー。
問1:単語をくりかえしてみよう


 300字の文章を書き、その中で同じ名詞や動詞や形容詞をくりかえしてみましょう。少なくとも3回。
(名詞・動詞・形容詞でない「の」「から」などの語(助詞)はカウントしません。)
(名詞・動詞・形容詞であっても「だった」「言った」「した」などの目立たない語はカウントしません。)

mimura_akira

問2:出来事をくりかえしてみよう


 700~2000字の短い文章を書いてみましょう。その中で、まず何か台詞や出来事があって、その後、その台詞や出来事がくりかえされる(うっすらとでも、はっきりとでも)、という形にしてください。

 できればそのくりかえしは、文脈が違ったり、人物が違ったり、規模が違ったりするようにしてください。
 これだけで完結したお話にしたかったらそうしていいし、お話の一部として書いてもかまいません。

 Write a short narrative (350-1000 words) in which something is said or done and then something is said or done that echoes or repeats it, perhaps in a different context, or by different people, or on a different scale.
 This can be a complete story, if you like, or a fragment of narrative.

mimura_akira

英文も載せてみました。

ちょっと面白いことを発見したんです。

聞いて聞いて。


途中に"perhaps"という言葉があるでしょう?(下線を引いてみました)

ふつうこれは

「もしかしたら~かもしれない」

という意味でしょ。

(つまり「メイビー maybe」と同じ。

昔、木村拓哉さんが「メイビー」が口ぐせのキャラを演じてたドラマ、ありませんでした?^^)

でもperhapsには、「メイビー」のほかに、

「 [丁寧な依頼・提案などに用いて] できましたら、よろしければ」

という意味もあったんです!

(研究社リーダース)

これなら、この文脈にぴったり。

ヒツジ、はずかしながら、さっき初めて知りました。

辞書は引くものですねー!^^

ル=グウィンさんは「練習問題」としてではなくて、章の末尾にちょろっと、
「フィクションやノンフィクションで『構成上の反復』が使われている例を探してみましょう」
とアドバイスしてくれています。
こっちのほうが楽しいかも!
真知子と春樹がなんどもなんどもすれちがったり(『君の名は』)←古い古い古すぎる!
たけぞうとおつうがなんどもなんどもすれちがったり(『宮本武蔵』)
ご老公が印籠を出したり(『水戸黄門』)
上様が「成敗!」って言ったり(『暴れん坊将軍』)

だめじゃん、例がありすぎじゃん。
皆さんは、どんな「くりかえし」が好きですかー?

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登場人物紹介

ミミュラ


このコラボノベルの管理人。ときどきアマビエに変身する。

アーシュラ・K・ル=グウィンをこよなく慕い、勝手に師と仰いでいる。

ヒツジのくせに眠るのが下手。へんな時間に起きてしまったり寝てしまったりする。

犬派か猫派かでいったら、犬派。(←ヒツジだけにお犬さま方にはつねづねお世話になってます(^^ゞ)

たい焼きは頭から、チョココロネは太いほうから食べる派。

ミニャノ

管理人に「眠り下手仲間」のよしみで誘われ、このコラボに参加することになった紀州犬。と言っても紀州には何のゆかりもなく、出身は相州鎌倉。現在、台湾台北に生息中。

「鳩サブレー」は頭からでも尾からでもなく、袋の状態のまま、指でぶちぶち潰してから食べる派。

日本語と中国語の間をふらふら往き来する人生ボケ担当大臣(自称)。ときどき別形態になるんだって。

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