第1章「あなたの文章はどんな響き?」

文字数 2,735文字

自分の書いた文章は、耳で聞いたら、どんな響きをもっているか。
意識していますか?
意識しましょう!
という章です。
まとめ終わり。(はや!)
ようするに、小説の文章というものは、「先へ進む」こと(ドライブ感)が大事だということ。
そのためには、リズムと、音の良いひびきが助けになるということ。

この章で原作者は、英語の名文、それも、やさしい文章で音のひびきやリズムの良さに満ちた文章を、たくさん例として挙げてくれていますが、

その良さをハウツー本内の日本語訳で味わうのは、やっぱり無理な相談でした。

日本人というか、日本語で書く私たちは(国籍は関係ありません)、日本語の名文をたくさん読んで、その響きを楽しむのが練習になりそうですね。
ヒツジのおすすめは、谷川俊太郎の「ことばあそびうた」!
あとは、好みがかたよっちゃうから言いづらいけど……やっぱり「文豪」って言われる人たちには、音のきれいな文章がすごく多いと思います。
夏目漱石大先生の『坊ちゃん』なんて、音読するとすっごく楽しいじゃないですか!
じつは『吾輩は猫である』も音読するとすっごく楽しいです。^^

小学生用に(笑)、原文を変えずに、ひらがなにしたりルビをふったり注をつけたりして、とーっても読みやすくしてくれた素敵な版があります。

青い鳥文庫。

われらが講談社さん!ヽ(´▽`)ノ

あれならヒツジにも読めました。

イラストが佐野洋子さんなのも嬉しい!^^

漱石先生の文章はほんと、口にすると口に嬉しい感じ。有名なのをちょこっとしか読んでないけど、『三四郎』三部作(『三四郎』『それから』『門』)も大好きだなあ。


『草枕』は漢字が多くて「何言ってるかわかんない(汗)」のオンパレードなんだけど、

「ようかんが好きだ」

という話をひたすらだらだら書いてる所とか、すごく好き。^^

菓子皿のなかを見ると、立派な羊羹[ようかん]が並んでいる。
余はすべての菓子のうちでもっとも羊羹が好[すき]だ。別段食いたくはないが、あの肌合[はだあい]が滑[なめ]らかに、緻密に、しかも半透明に光線を受ける具合は、どう見ても一個の美術品だ。
ことに青味を帯びた煉上[ねりあ]げ方は、玉[ぎょく]と蝋石の雑種のようで、はなはだ見て心持ちがいい。のみならず青磁の皿に盛られた青い煉羊羹は、青磁のなかから今生れたようにつやつやして、思わず手を出して撫でて見たくなる。

西洋の菓子で、これほど快感を与えるものは一つもない。
クリームの色はちょっと柔かだが、少し重苦しい。
ジェリは、一目[いちもく]宝石のように見えるが、ぶるぶる顫[ふる]えて、羊羹ほどの重味がない。
白砂糖と牛乳で五重の塔を作るに至っては、言語道断[ごんごどうだん]の沙汰である。
(夏目漱石『草枕』より)

mimura_akira

この「白砂糖と牛乳で五重の塔を作るに至っては、言語道断の沙汰である」がめちゃめちゃ好き!
あ、ちなみに、
『声に出して読みたいなんちゃら』というシリーズがありますが、ぜったいにおすすめできません。

ヒツジは日本の古典はわかりませんが、少なくともあの著者さんの書いた英語関係の本がものすごくひどいことはわかるんです。
読むたびにほんとびっくりする。あまりに間違いが多くて。

車や電化製品だったらぜったい全品回収しないとまずいレベル。(@_@)

ひとつだけわかりやすい例を言うと、『こどもシェイクスピア』っていう本。

(斎藤孝 著、筑摩書房)

もうあっちこっちどうしようもない間違いばっかりなんだけど、きわめつけが、

『十二夜』っていう恋愛喜劇(ラブコメ)のあらすじで、


「そのときヴァイオレットは、……

そしてヴァイオレットは、……」


最初から最後まで「ヴァイオレット」連呼してるんですが、『十二夜』のヒロインは「ヴァイオラ」ですからね!?!?


本文を1ミリも読まないで解説書いてるんですね……

しかもなんとこれを使って、子どもたちにシェイクスピアを授業なさっているらしいです! 斎藤孝、大先生は。

むう……
があーーー!!!
話がずれちゃいました。ごめんなさい。

ときどきアマビエにもなるヒツジ。

(ヒツジのアイコンに激おこ顔がないものだから。)

どの文章が「響きがいい」かは、ぜったいご自分で探したほうがいいと思います。
ヒツジのおすすめは、読者さまがいま愛読なさっている本を、ちょこっと声に出して読んでみることです。
「意味が面白くて読んでいたけど、じつはこんなに音がきれいだったんだ?!」
という発見があるんじゃないかなと思います。
人間て、わりと、黙読のときも、頭の中で音のイメージをたのしんでいたりするから。

逆に「あれ、音があんまりきれいじゃない?」と気がついて、もっと違う本が好きになるかもしれません。
それはそれで面白いですよね。^^
じゃあ、練習問題を挙げて、この章のまとめを終わりにしますね。
〈練習問題1〉ぜいたくを自分に許しちゃう


課題1:
 1段落から1ページくらいの長さで、声に出して読むための文章を書いてみましょう。

 オノマトペや頭韻を使う、同じ言葉をくりかえす、リズムをつける、新語を造る、方言を使うなど、素敵に響かせるためなら何でもしていいです。ただし、脚韻と韻律には頼らないで。

(『ル=グウィンの小説教室』より)

mimura_akira

えーと、

脚韻や韻律は、よくある伝統のパターンなので、今回はあえて使用禁止。

頭韻やオノマトペなどで自由に遊んでみよう!

というルールです。

×脚韻(最後の音をそろえる)

×韻律(音の数をそろえる) ←日本語だと七五調とか

◯頭韻(最初の音をそろえる)

◯オノマトペ

日本語はもともと「脚韻」に向いていない言葉なので、
(過去形だと自然にみんな「~た」でそろっちゃってつまらないでしょ、)
日本語で遊ぶなら「頭韻」のほうが楽しめます。

「神田[かんだ]鍛冶町[かじまち]、角[かど]の乾物屋[かんぶつや]で、買った勝栗[かちぐり]、固くて噛めない、返して帰ろう」みたいな。
えっこれ、かんだかじまち有名じゃない? 東京の人しか知らない??
がーん。
もう一つの練習問題は、いきなり難しいかも?
課題2:
 1段落くらいで、1つの動作か、またはひとりの人が強い感情(喜び・恐れ・悲しみなど)を感じているところを書いてください。
 文章のリズムや動きが、書いている動作や感情を体感させてくれるように工夫してみましょう。

(『ル=グウィンの小説教室』より)

mimura_akira

よーく読んでみたら、そんなに難しそうでもなかった。
というか、これ楽しいかも?
ということで、第1章はおしまいです。
いかがでしたか?
次も続けて読んでいただけたら嬉しいです。(^^)/
第1章から第3章までは、先にまとめて説明してしまって、
その後、3章分の練習問題をやってみるのがよさそうです。
なので、次は第2章のまとめです!

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登場人物紹介

ミミュラ


このコラボノベルの管理人。ときどきアマビエに変身する。

アーシュラ・K・ル=グウィンをこよなく慕い、勝手に師と仰いでいる。

ヒツジのくせに眠るのが下手。へんな時間に起きてしまったり寝てしまったりする。

犬派か猫派かでいったら、犬派。(←ヒツジだけにお犬さま方にはつねづねお世話になってます(^^ゞ)

たい焼きは頭から、チョココロネは太いほうから食べる派。

ミニャノ

管理人に「眠り下手仲間」のよしみで誘われ、このコラボに参加することになった紀州犬。と言っても紀州には何のゆかりもなく、出身は相州鎌倉。現在、台湾台北に生息中。

「鳩サブレー」は頭からでも尾からでもなく、袋の状態のまま、指でぶちぶち潰してから食べる派。

日本語と中国語の間をふらふら往き来する人生ボケ担当大臣(自称)。ときどき別形態になるんだって。

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