ヒツジが第7・8章についてセルフチェックをやってみるページ

文字数 2,054文字

じつはヒツジは、NovelDaysで書き始めてから10か月くらい、ずっと一つの視点で書いてました。
一人称一元視点です。

その前に、三人称一元視点で小説を二度ほど完成させてたんですけど……
どこか、ぎこちない感じが自分でもしていました。

一人称にしてみて、いきなり書けるようになったんです。
自由に息ができるような気がしました。
そのままどこまで行けるか試してみたら、10か月続きました。
三人称一元で書いた初期の作品の、何が自分で気に食わなかったかというと……

私自身の体験を、私に似た主人公を作って、
「○子は」
とかって書いてたわけですね。
それが、どうにも居心地悪くて。

あくまで私の場合ですけど、
どうしても甘くなるというか、嘘くさくなってしまうんです。
○子を悲劇のヒロインにしてしまいがち。
リアルな私よりけなげで美人にしてしまいがち。笑
それが自分で嫌でした。

思いきって、
私自身とは似ても似つかない主人公を作って、「私は」って書いてみたんです。

というか、そのヒロインが「私は」って私の中で勝手に語り始めて。
ほとんど夢中でそれを書きとめていった感じでした。口述筆記みたいな。
それが『オフィーリア・ノート』と『レディ・マクベス・ノート』でした。
ああ、これは、自分に向いてるぞ!と思いました。
はじめから自分より素敵な美女に「なりすます」わけです。笑
これはいいなと。楽しいなと。

で、三番目にやってきて語り始めたのは、なんと男の子でした!
それが『ジークフリート・ノート』でした。
ジークフリートくんの口述筆記は大変でした。
なにせハイパーイケメンの王子さまなんですから、なりすますのも楽じゃないんです。
でも自分で決めていました。
これは、どんな長編になっても、彼の一人称で書ききってみようと。

そうすると、キラキラ男子だという以外にも、
めんどうなことがたくさん出てきました。

早い話が、
彼が見て、聞いて、感じて考えたこと以外、書けないわけです。

途中で彼の恋人が遠くへ行ってしまうんですけど、彼女が何をしているか、彼にはわからない。
他の登場人物たちの身の上にもそれぞれいろんなことが起こるんですけど、彼らがジークフリートくんに報告してくれないかぎり、彼はそれを知ることができない!
これは、燃えました。
神視点の「そのころ誰それは」っていうのが使えないルール。
この不便さにがぜんアドレナリンが出ました。
縛りがきついほど燃えますね、ヒツジは。
どMかもしれません!笑
いまは、ヒツジ自身が「一人称が得意か? 三人称が楽か?」っていう問題じゃなくて、
その題材にあった視点を選べるようになってきた気がします。
作者ファーストじゃなく、作品ファーストですね。
あくまで当社比ですけど、進歩しました。テレ☆彡
ヒツジの場合、
「私は」と書くにはリアル自分に近すぎて書けない語り手の場合、「彼女は」になり、
リアル自分からじゅうぶん遠い語り手の場合、安心して「私は」になれるようです。
〈ジークフリート〉シリーズ総計19万字、
〈夢〉シリーズ総計17万7千字書いて、
「さわり」2千字書いて、ちょっと虚脱状態になっていたときに。

前のページの「なんちゃって桃太郎」みたいなノリで、
ふと書いてみたのが、連作『だれがどすたの物語』でした。

もう神視点だろうとなんだろうとやりたいほうだいにやってみました。

このシャッフルがなかったら『ダブルダブル』には進めなかったと思います。


昔話のパロディ、習作としてかなりオススメです。

ところで、
視点人物の選びかた――
どういう人を視点人物にしたらいいか

という話は、ル=グウィンさんの本には残念ながら出てこないんですけれども、
じつはけっこう重要なポイントじゃないかなとヒツジは思っています。

むしろ、視点人物にしないほうがいい人は誰か、という話でしょうか。

すごく単純な例だと、
ミステリーでは従来、犯人は視点人物にしなかったですよね。
いまはもう叙述トリック的なのもふくめていっぱい例外あると思いますけど。

そうすると、ミステリーでなくても、
プロット上、何かの謎の鍵を握っている人は視点人物にしないほうがいい
ということになりますね。
謎を持っているほどじゃないにしても、例えば『ダブルダブル』だと、
ヒーロー格の義経くんと知盛くんはほとんど視点人物になってないんです。いまのところ。
他の子たちの目に映った彼らを描くだけで、なかなか彼らの中には入れないです。

つまり、大事な人たちだからこそ、視点人物にできないというか。

「この人何考えているんだろう?」というキャラクターって、出てくると緊張感を作りませんか?

いつも全員にまんべんなく視点ローテーションが回るより、そういうアンバランスを作っておいたほうが、

かえってバランスがいいような気がしています。

そうだ、ちょっと思いつきました。
ショートショート集『だれがどすたの物語』をたたき台にして、
視点人物が、どこで、誰から誰に変わっているか?
というクイズを作ってみようと思います。
よかったら解いてみてください。

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登場人物紹介

ミミュラ


このコラボノベルの管理人。ときどきアマビエに変身する。

アーシュラ・K・ル=グウィンをこよなく慕い、勝手に師と仰いでいる。

ヒツジのくせに眠るのが下手。へんな時間に起きてしまったり寝てしまったりする。

犬派か猫派かでいったら、犬派。(←ヒツジだけにお犬さま方にはつねづねお世話になってます(^^ゞ)

たい焼きは頭から、チョココロネは太いほうから食べる派。

ミニャノ

管理人に「眠り下手仲間」のよしみで誘われ、このコラボに参加することになった紀州犬。と言っても紀州には何のゆかりもなく、出身は相州鎌倉。現在、台湾台北に生息中。

「鳩サブレー」は頭からでも尾からでもなく、袋の状態のまま、指でぶちぶち潰してから食べる派。

日本語と中国語の間をふらふら往き来する人生ボケ担当大臣(自称)。ときどき別形態になるんだって。

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