第60話 ムンクの叫び
文字数 1,352文字
翌日の朝、寝不足のせいで頭がぼんやりとしていた。前日、なぜアンコが叫んだのか気になって、よく眠れなかった。布団を蹴りだしてベットの隣を見ると、オータムの姿はない。恐らく、ホテルの朝食を食べに行ったのだろう。
朝食会場はバイキング形式だった。意識がぼんやりしている中、食べ物の匂いに誘われて会場に向かった。
「フィン、大丈夫? 疲れているようだけど?」
メロンは心配してくれて、俺のおでこに手を当ててきた。「大丈夫、熱はないよ」と安堵した表情を浮かべた。
メロンの取り皿を見ると、朝食にしては食べ物の量が多すぎだ。夕食ではないかと思うくらい皿に取っていた。
「おはようございます! 顔色良くないですよ?」
にっこりと笑顔を作ったアンコが現れた。
「お礼を言おうとハーヴェイに電話をしたんですけど、
「そうか。また後で、感謝の気持ちを伝えといてくれよな!」
俺たちは朝食を食べ終えてホテルをチェックアウトした。今日の目的地、図書館に向かうことにした。オータムの情報によると、車で約30分の距離だった。しかし、着いたところで何をするのか、具体的な計画はなかった。
オータムはポケットから見覚えのあるカギを出した。
「……なんだっけ、そのカギは?」
「フィン、この為にここまで来たんだよ……」
オータムは切なそうに、俺の肩を軽く叩≪たた≫いた。博士からの手紙にあったカギのようだ。
「仕方がないよ。フィンだもん……」
メロンは俺を見て微笑んだ。
「寄り道になるかもしれませんが……服買いませんか?」
アンコはホテルの前にある洋服店を指さした。
「いいね! 買いに行きましょう」
メロンは俺たちの了解を得ずに、洋服店に向かった。持ってきた服や下着は一度着ているので、必要だと思った。
「久しぶりだね。フィンは何を買うんだい?」
オータムも乗り気だった。オータムもメロンも服に興味があって、おしゃれだった。
「俺は何でもいいよ! 動きやすいのだったらな」
その後、俺とオータムは買い物を済ませ、ベンチに腰掛けた。
「……まだ、出てこないのかよ!」
俺は座っているベンチにあぐらを組んで座っていた。
「誰かに見られている感じしないかい?」
目をつむったオータムが問いかけてきた。
「そうか? 俺には何も感じないぜ?」
「……そうかい。気のせいか」
そういうとオータムはベンチに深々と座り、寝入ってしまった。
「ごめん! 待った?」
メロンとアンコは小走りでこちらに向かってきた。申し訳なさそうな表情しながらも、気に入った服があったと喜びを隠しきれない様子だ。文句を言おうと声の方に顔を上げると、同じような服装をしたメロンとアンコが立っていた。
「お
仮眠を取っていたオータムを見ると「お似合いだよ」とほめていた。これが大人の対応というものかと感心していた。
服屋を出発して、しばらく山道を車で走っていると、山小屋を発見した。俺たちは気になって、停車させた。中には誰もおらず、山小屋には「休憩所」と書かれていた。オータムはもし何かあったら、この場所に集合しようと提案した。
その後、俺たちは山小屋の近くに車を駐車した。
歩いて20分もすると目的地である図書館に到着した。