第3話 Game世界(2023年)②
文字数 1,447文字
「いや。わしの情報ではウイルスは自然発生的だと聞いておる!」
「……なるほど。 そういう事か」
オータムはなぜか納得しているようだった。
「でも、なんでそんな事をしたんだよ?」
俺は基本的に勉強嫌いだが、歴史だけは別だ。特にGame世界は興味があった。Game世界とは西暦2000年頃の事を指し、お金と言わていた紙やコインの為に人々が働き、それを欲しいものと交換できる仕組みを作った時代。
その時代をオータムと一緒に研究しようと試 みたが、なぜかGame世界の資料がほとんど残ってなかった。
なぜ調べようかと思ったかといえば、人口も今の数十倍もあり、200も国が存在した時代。それは楽しかったのではないかと考えていたからだ。今ではお金と言われるものはなくなり、昔の紙幣はただの紙切れとなっている。
紙切れが米などと交換できる価値があるなんて想像もつかないが、その頃は一番文明が進んだとされている。現在、Game世界から進歩しておらず、むしろ後退 していると博士は言う。
「まあ待て! 時間はまだあるよ」
コーヒーが飲みごろの温度になったのか。博士は美味しそうにすすった。
メロンも同じタイミングで立ちオレンジジュースの缶をおかわりする為に冷蔵庫に向かっていた。メロンが椅子に戻るのを確認すると博士の話はまだ続く。
「ワクチンはお金がある裕福な国から打たれていった。このタイミングでオズワルトが企 んだそうだ。そして、次々と人は心臓麻痺 が原因という事で……」
なんか嫌な予感がした。どことなくホラーの話を聞いている感覚でもあり、都市伝説の話を聞いているような現実味がない話を聞いているようだ。
「さらにそれを飲んだ人の子孫 まで影響を受けてしまうそうだ」
メロンの顔をちらっと見ると、顔が引きつっていた。オータムは不思議そうな顔をしていた。
「……ってことは今生きている人の生死もコントロールできると?」
博士は小さくうなずいた。
「どこからそんな話を聞いたんだい?」
「それは聞かないでくれ。深く調べてもいいことはないよ」
「半 ば強制的ってことは受けていない人もいたのか?」
俺はその集団に怒りを感じていた。それと同時に怖いなと思った。もし、自分が同じような状況だったら、ワクチンを受けていると考えたからだ。それに今も自分の生死がコントロールされている可能性が高いならば、それは絶望 でしかなかった。
「かなり少数ではあるが受けていない人達もいたが、恐らくわしも含めご先祖様 が受けている可能性は高いだろうな」
博士はなんとも言えない顔をしていた。勢いあまって話過ぎたと後悔しているようにみえた。
「そんなのおかしいよ。何様なの。オズワルトって集団!」
メロンが珍しく怒っていた。
「人の人生をなんだと思っているのよ」
そう吐き捨てると、冷蔵庫からオレンジジュースを取りだし、缶を上下に力強く振った。
「わしが聞いたのはそこまでだ。これからまた仕事があるでな」
足早に家から出ようとドアに向かっていった。 博士は最後に振り返り、絶対に他言 はするなと注意した。
「今の話は博士が話した仮説の中で一番芯をついているような気がするね」
オータムの推測が続いた。「もしこの話が事実だとしたら、とても危険な話をなんで俺たちにしたのだろうか。危険すぎる」とその時はまだ意味が分からなかった。
次の日、博士は死んだ。
「……なるほど。 そういう事か」
オータムはなぜか納得しているようだった。
「でも、なんでそんな事をしたんだよ?」
俺は基本的に勉強嫌いだが、歴史だけは別だ。特にGame世界は興味があった。Game世界とは西暦2000年頃の事を指し、お金と言わていた紙やコインの為に人々が働き、それを欲しいものと交換できる仕組みを作った時代。
その時代をオータムと一緒に研究しようと
なぜ調べようかと思ったかといえば、人口も今の数十倍もあり、200も国が存在した時代。それは楽しかったのではないかと考えていたからだ。今ではお金と言われるものはなくなり、昔の紙幣はただの紙切れとなっている。
紙切れが米などと交換できる価値があるなんて想像もつかないが、その頃は一番文明が進んだとされている。現在、Game世界から進歩しておらず、むしろ
「まあ待て! 時間はまだあるよ」
コーヒーが飲みごろの温度になったのか。博士は美味しそうにすすった。
メロンも同じタイミングで立ちオレンジジュースの缶をおかわりする為に冷蔵庫に向かっていた。メロンが椅子に戻るのを確認すると博士の話はまだ続く。
「ワクチンはお金がある裕福な国から打たれていった。このタイミングでオズワルトが
なんか嫌な予感がした。どことなくホラーの話を聞いている感覚でもあり、都市伝説の話を聞いているような現実味がない話を聞いているようだ。
「さらにそれを飲んだ人の
メロンの顔をちらっと見ると、顔が引きつっていた。オータムは不思議そうな顔をしていた。
「……ってことは今生きている人の生死もコントロールできると?」
博士は小さくうなずいた。
「どこからそんな話を聞いたんだい?」
「それは聞かないでくれ。深く調べてもいいことはないよ」
「
俺はその集団に怒りを感じていた。それと同時に怖いなと思った。もし、自分が同じような状況だったら、ワクチンを受けていると考えたからだ。それに今も自分の生死がコントロールされている可能性が高いならば、それは
「かなり少数ではあるが受けていない人達もいたが、恐らくわしも含めご
博士はなんとも言えない顔をしていた。勢いあまって話過ぎたと後悔しているようにみえた。
「そんなのおかしいよ。何様なの。オズワルトって集団!」
メロンが珍しく怒っていた。
「人の人生をなんだと思っているのよ」
そう吐き捨てると、冷蔵庫からオレンジジュースを取りだし、缶を上下に力強く振った。
「わしが聞いたのはそこまでだ。これからまた仕事があるでな」
足早に家から出ようとドアに向かっていった。 博士は最後に振り返り、絶対に
「今の話は博士が話した仮説の中で一番芯をついているような気がするね」
オータムの推測が続いた。「もしこの話が事実だとしたら、とても危険な話をなんで俺たちにしたのだろうか。危険すぎる」とその時はまだ意味が分からなかった。
次の日、博士は死んだ。