第9話 見学はコチラ

文字数 611文字

 資料には『人々は欲しいものがあるとき、自分の持っているものをとりかえる物々交換(ぶつぶつこうかん)をしていました。次第に米……布などが貨幣のようなものを貨幣代わりに使い、物品貨幣(ぶっぴんかへい)に変化した』と書かれていた。

その資料には古代と書かれており、俺たちの世界では物々交換と物品貨幣の両方に当たると理解した。資料の制作年を見るとGame世界であることが分かった。

 それを見たオータムは納得していた。
「やっぱり。俺たちの世界はGame世界の時より退化(たいか)してしまっているようだな」
「見て! ここの未来には貨幣がなくなって、インターネットでお金を管理するかもって書いているよ」

 小声ではあったもののメロンは、はしゃいでいた。


「このころはまさか1000年後が逆戻りしているとは思っても見なかっただろうな」と俺は(なげ)いた。


 展示されているものには、当時お金として使われていた紙幣やコインが置かれていた。展示品を見ながら、辺りを警戒していたが、特に人はいなかった。メロンが上にぶら下げられている看板を(ゆび)さした。


「次はこっちだって」

 俺とオータムは天井(てんじょう)を見上げると。「見学はコチラ」と書かれており、その看板は2階に行くように指示していた。

 メロンは迷うこと無く、その順序(じゅんじょ)に向かって進みだした。途中で1階に食堂やトイレと書かれた場所もあった。

 建物の中は暗く、歩くたびに床がギシギシと音を立てていた為、静かに歩くのは非常に困難だった。



「あれ? 明かりが見えるよ」
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