第123話 true gate

文字数 813文字

「う~ん・・・」
「どうしたの、メシヤ?」
 北伊勢スクエアガーデンの噴水前で、メシヤが臥龍剣(がりゅうけん)をかざしている。

「どうも臥竜剣の調子が悪くってさ」
 メシヤは左腰の鞘に納めた。

鳳雛剣(ほうすうけん)は?」
「こっちも元気ないね」
 太陽の方角を差しても、いつもの変化が無い。

「メシヤくん」
 そこへ、秋色めいたCHANELの新作に身をつつんだ女性があらわれた。

「オブライエンさん!」
 メシヤが表情を明るくさせた。マリアが面白くない顔をする。

「どちらさん?」
 ひそひそ声でメシヤに話すマリア。メシヤは簡潔に説明した。

「メシヤくんの身を護るその宝剣ですが、造られたのは刃物の町・関市よ」
「え~っ、それは知らなかったなあ。関市と言えば日本の人口の重心でしたね」

「スターゲートを生み出す聖剣の誕生した場所が、ゲートシティ(関市)だったってわけね」
 オブライエン博士も、言語遊戯がお好きなようだ。

「ははっ、お上手ですね」
「メシヤくんほどじゃないわ」
 だらしない顔をするメシヤ。

「ちょっと、なにデレデレしてるのよ!」
 マリアは気に入らないようだった。

「マリアさん。ボスボン間(ボストンーリスボン間)でのご活躍、大儀でしたね。あなたがいなければ、ハイパーループで六大陸が繋がることは無かったわ」
 急に名前で呼ばれて、マリアは驚いた。

「あっ。いえ、あたしは奈保くんの言われるがママに動いただけで、なにも・・・」
 マリアはすぐに落ち着いた。

「メシヤくんの宝剣は、これからも必要になることでしょう。できるだけ早く直した方がいいですね」
 オブライエンはまったく曇りの無い笑顔を見せた。

「オブライエンさん」
「なにかしら?」

「世界の人口重心はどのあたりでしたか?」
 メシヤはすぐ興味が移る。

「それなら、インドの北部と言われているわ」
 オブライエンは即答した。

「ほぼパキスタンも含まれますね」
「まあ、誤差の範囲ね」

 マリアが呆れている。
「ハラッパーの真ん中でって言いたいんでしょ!」




ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み