第134話 Love in an escalator

文字数 706文字

「エスカレーターが曲がってるネ!」
 大空間を利用した曲がるエスカレーター。世界的に見ても珍しい。

「こんなことが出来るのよね。作るの大変そうだけど」
 マリアにとっては見慣れたエスカレーターだが、初めて見るこどもがはしゃいでいる。

「10月からエスカレーターを歩いてはいけないって条例が出来たところもあるね」
 メシヤは動く歩道でムーンウォークごっこをして、よく怒られている。

「まあ、あぶないって言えばあぶないわよね。片側にしか人が乗っていないのも、荷重的に負担が掛かりそうだし」
 (たかむら)学園の生徒がスパイラルエスカレーターに乗り込んだ。この学園は、小中高のエスカレーター式である。

「僕らも上に行こうか」
 さきほどから、小学校低学年のこどもが、上り下りを繰り返している。

 階上から年配の女性が杖をついて降りてきている。少年が女性の脇をすり抜けようとすると、腰元に勢いよくぶつかった。女性は体勢をくずして転倒してしまう。

「あっ!」
 マリアが危険を察知する。安全装置があるとはいえ、衣類が巻き込まれては大変だ。

「メシヤ! 緊急停止ボタンヲ!」
 一番近くにいたメシヤに、エリが叫んだ。

 エスカレーターには、乗り口と降り口の足下付近に、赤い緊急停止ボタンが備えられている。メシヤは了解と手を上げた。

「エスカレーター、停止します!」
 緊急停止ボタンを押しても、スムーズには止まらない。衝撃に備えさせるため、メシヤが注意を呼び掛けた。

 メシヤは以前にも同じシチュエーションに遭遇したことがある。手際よくボタンを押し、女性を助けることに成功した。

 メシヤたちは謝礼として、ショッピングセンター・ステラアイランドの商品券をプレゼントされた。




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