第113話 サマーソルトハック

文字数 660文字

「なんとかならないかしら、この暑さ」
 マリアが手で顔を扇いでいる。
「残暑が厳しいですわ」
 レマもうっすら汗をかいている。

「散々言われてることだが、スポーツドリンクは欠かせないな」
 イエスの実家は建設業なので、熱中症対策は急務だ。

「でもサ、あれって飲み過ぎるとカラダに悪いんじゃ無イ?」
 甘党のエリだが、反対意見を出した。

「確かにね。がぶ飲みするようなものじゃないよね」
メシヤは甘味より塩味の料理を好む。
 
「そうなのよね。お水とかお茶とかのほうが常飲するにはいいけれど、それだけだと体液が薄まっちゃうからって言われだしたのはここ数年よね」
テレビでも学校でも、そうした話題が出る。

「それで塩飴も推奨されているのですね」
 レマは故郷の死海を思い出していた。

「ワタシはお茶とおにぎりを一緒に摂りたいかナ?」
 エリは塩飴では物足りないようだった。

「あ、それイイね!」
 テイクアウト用のおにぎりメニューが、メシヤの脳内を駆け巡った。

「俵状の食べやすいサイズがいいわね」
 食べやすいサイズになりました、の謳い文句で実質内容量が大幅カットされているトリックが仕掛けられていることがあるが、めし屋フジワラのおにぎりは良心的な価格になることだろう。

「炭酸水にポッカレモンと蜂蜜を足せば、夏風邪にも効きそうだな」
 イエスは炭酸飲料が好きだが、市販のモノは甘すぎると日頃愚痴っている。

「それでしたら、ケーキも欲しくなってしまいますわ」
 レマが欲望をさらけだす。

「ああ、ダメダメ! 夏は誘惑が多いわ!」
 マリアがスカートのベルトの感触を確かめた。




ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み