第110話 ゲダンケン・エクスペリメント(思考実験)

文字数 627文字

《Hi, Q太郎 あいかわらず面白いことやってますね》 
「モーニントンさん、こんばんは!」

 メシヤの個人ブログ『3分で創るインスタント・ユニヴァース』内で、久しぶりにコメントが付いた。

《空飛ぶ車についての投稿、面白く読ませてもらいましたよ》
「はい、ドローン式というのがなんだか好きになれなくて、磁力式のを考えていました。といっても、磁力を使った反重力は、SFでは定番なんですけどね」

コメントはここで終わっている。

~~~~~~~~~~~

「いよぉ、メシヤ」
 まだ暑さも残る季節だが、その男は上下黒づくめで[めし屋フジワラ]にあらわれた。

「あれ~? ダニエルさんじゃないですか!」
 再会を喜んだメシヤだが、すぐ表情を曇らせた。

「てことは、また何か良くないことが起こるのかも・・・」
 メシヤは人差し指を折り曲げて頬を掻いた。

「貧乏神では無くて、魔除けくらいに考えてもらいたいな」
 強面のダニエルだが、冗談に付き合う。

「ご注文はいかがなさいますか?」
 マナは警戒しているが、店の務めは果たす。

「トンテキを頼む」
「あいよ!」

 メシヤがてきぱきと調理を開始する。

「世界一周を終えたばかりだと思うが」
 ダニエルの声に顔を上げるメシヤ。

「これからもっと忙しくなるぞ」
 まだ早い時間なので、ダニエル以外の客は誰もいなかった。

 ネコ科の猛獣がうなるようなエンジン音がした。
 扉が開くと、ブロンドヘアの女性と、カーリーヘアの男性が入ってきた。

「あなたがQ・・・、メシヤくんね!」




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