第168話 KING OF FOOTERS

文字数 795文字

「ビッグニュースだ!」
 メシヤが血相を変えて走ってきた。

「どうしたってのよ?」
 メシヤの驚くことは、人から見たら「そんなことで?」という場合がある。

「キング・カズが鈴鹿ポイントゲッターズに移籍してくるんだ!」
 期限付きではあるが、メシヤがエキサイトするのも無理はない。キング・カズは、間違いなく日本サッカー界、最大の功労者である。

「俺たちの生まれる前だが、ドーハの悲劇は無念さが伝わってくるな」
 決してあの時の日本代表が、油断していたわけでは無かったと思うのだが。

「フランスワールドカップの時は黄金の中盤なんて言葉があったけど、カズさんが出場しなくなったあたりから、FWの得点力不足が叫ばれるようになったわね」
 リアルタイムで見たかのようなマリアの発言だが、いまは過去のVを簡単に視聴できる。

「僕がレフトウイングにこだわるのも、カズさんの影響なんだ。カズさんは両足を使えるし、なにより勝利への執念がすごく伝わってくる。ブラジルで培ったハングリー精神とピューマのような野性味を感じるよ」
 キング・カズはスピードで言えばずば抜けているわけではないが、足下に吸い付くボールコントロールで果敢に相手DFのプレッシャーを(かわ)し、稲妻シュートを量産していった。

「あんた野球以上にサッカーになると熱がこもるわね。ま、サッカー部だから当たり前か」
 番外編で、北伊勢高校サッカー部の物語が見られる・・・かも知れない。

「今年はワールドカップイヤーだが、本大会はけっこう年末にやるスケジュールなんだな」
 プロミネンス禍の影響で、予選の日程が遅れたせいもあるだろう。

「カズさんは日本代表でワールドカップに出るのが夢だって言ってるわね」
 今年で55歳を迎えるキング・カズ。現役日本代表に与える影響力はいまだに大きいだろう。

「ワールドカップ優勝目指して、Vamo la 《ヴァモラ》!」
 メシヤはデカビタCを飲み干した。





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