第22話 藤原兄妹
文字数 706文字
「お兄ちゃんいる~?」
マナが入ってきた。
「おいおい、ここはトイレじゃないぞ」
「なんのこと?」
「国際 標準 マナーでは、ノック2回はトイレですることになってるんだよ」
「しないよりはいいじゃない」
「しないのは論外だな」
「本当は4回が望ましいが、日本では省略して3回でもOKになっている」
「へー、覚えておこ」
「で、何の用だ?」
「あー、ウンチクのせいで忘れるところだった!」
マナが要件を思い出す。
「夜の仕込み、しなくていいの?」
「ああ、いま行くよ」
めし屋フジワラの敷地内に、20坪ほどの蔵がある。ここが食料庫になっている。業務用の冷凍庫から、カチカチに凍ったマグロを取り出した。冷蔵庫にはキャベツやトマト、キュウリ、鶏のささ身・クラゲなどが整理整頓されている。どうやら、定食用のサラダや小鉢を作り置きしておくのだろう。
「あ、今日はバンバンジー?」
メシヤは中華料理が世界で一番美味いと思っている。もちろん食堂なので、偏らないようにはしている。マナは女の子らしく、フレンチやイタリアンが好物だ。
「そう、ささ身があまり気味だし、クラゲも買ったばかりだったから」
めし屋フジワラは在庫管理が徹底している。お決まりのメニュー表というものが無い。余っているものから先に使うように十数種類の献立を決めて、ブラックボードに手書きしている。ボードに無いものも応相談だ。
「ん?」
「どうしたの?」
「こんな箱あったかな?」
なにやら古めかしい木箱が棚に置いてあった。かなりの年代を感じさせたが、作りは重厚で、鮮やかな装飾が施されてあった。
メシヤが箱の中を開けると、ホコリにまみれてはいるものの、優勝カップのような立派な器が、そこにあった。
マナが入ってきた。
「おいおい、ここはトイレじゃないぞ」
「なんのこと?」
「
「しないよりはいいじゃない」
「しないのは論外だな」
「本当は4回が望ましいが、日本では省略して3回でもOKになっている」
「へー、覚えておこ」
「で、何の用だ?」
「あー、ウンチクのせいで忘れるところだった!」
マナが要件を思い出す。
「夜の仕込み、しなくていいの?」
「ああ、いま行くよ」
めし屋フジワラの敷地内に、20坪ほどの蔵がある。ここが食料庫になっている。業務用の冷凍庫から、カチカチに凍ったマグロを取り出した。冷蔵庫にはキャベツやトマト、キュウリ、鶏のささ身・クラゲなどが整理整頓されている。どうやら、定食用のサラダや小鉢を作り置きしておくのだろう。
「あ、今日はバンバンジー?」
メシヤは中華料理が世界で一番美味いと思っている。もちろん食堂なので、偏らないようにはしている。マナは女の子らしく、フレンチやイタリアンが好物だ。
「そう、ささ身があまり気味だし、クラゲも買ったばかりだったから」
めし屋フジワラは在庫管理が徹底している。お決まりのメニュー表というものが無い。余っているものから先に使うように十数種類の献立を決めて、ブラックボードに手書きしている。ボードに無いものも応相談だ。
「ん?」
「どうしたの?」
「こんな箱あったかな?」
なにやら古めかしい木箱が棚に置いてあった。かなりの年代を感じさせたが、作りは重厚で、鮮やかな装飾が施されてあった。
メシヤが箱の中を開けると、ホコリにまみれてはいるものの、優勝カップのような立派な器が、そこにあった。