第125話 dance of dunce

文字数 819文字

「ダンス付きのCMが増えましたね」
 レマが言うように、タレントがコミカルに踊るCMがよく流れる。

「ダンスは好きだけど、猫も杓子もって感じよね」
 マリアは踊り子のコスプレが似合いそうだ。

「動きが速くて細かければ優れたダンスかと言うと、そうでもない気がする」
 メシヤは音に過剰反応して、調子に乗るタイプである。

「ダンス動画を一回見ただけで完コピする人とかいるわよね」
 マリアが手足をくねらせた。

「ダンスレッスンでも先生が対面になってる時は、右手側・左手側を無視して同じ側の手足を動かした方がこんがらがることは無くなりそうだね」
 ダンス講師が生徒たちと同じ方向を向いて教えることもあるが、鏡越しではなく対面で生徒達の動きを見届けたほうがよいだろう。

「アイドルグループやダンス集団が次々と楽曲を発表して踊りを見せてくれますが、こうした動きはいずれ“打ち止め”になってしまうのでしょうか?」
 レマが言うのは、新しい楽曲がリリースされても、どこかで見たようなダンスばかりになってしまわないかという懸念である。

「振り付け師が似た構成を意図的に避けようとすれば、それこそ無限に生み出せるはずだよ。たとえば右手を前に出す動きだけでも、コンマ何秒ためてから出すのか、どこまで肘を伸ばすのか、何度捻るのか、どの指は立っているのか、それにともなって左手は~って考えたら、ひとつとして同じ演舞にならないと思うよ」
 ちなみに、“舞う”は回転系の動き、”踊る”は跳躍系の動きである。

「ワタシTVや動画を見ていて思うんだけド、パフォーマンス重視で歌のほうがお飾りになってる現状ハ、ちょっと残念に思ってル」
 生歌では無い音に合わせて、激しいダンスを披露するモノが主流だ。

「それは思うなあ。たとえば歌は歌だけで成立するけど、楽曲なしの無音の空間で演者が踊るだけだったら、どんなにすごいダンスでも物足りないかも」

「その点、マイケルはいま見返してモ、魅せる歌とダンスだったネ!」




ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み