第34話 二五1 にくきもの 急用に突然来客  

文字数 944文字

□急ぎの用事があるのに、突然やってきて、人の気も知らず、長話するお客は憎たらしい。気心知れた人ならば、「後に」といっても、お引き取り願えるが、さすがに心遣いしなければならない人だと、いらいらしながらお付き合いせねばならない、にくたらしいし難しい。
硯に髪の毛が入りて、すられたるのも、腹立たしい。また、墨の中に、石のきしきしときしんで鳴るのも、気色悪くにくい。
急に病人がでて、験者を呼んできてもらおうと思ったが、いつもの所に居なくて、方々捜し歩いて捜してもらうが、待ち遠しいかぎりである。ようやくやってきて、よろこび祈祷を始めてもらった。このごろ物の怪退散の祈祷で飛び回り、忙しすぎるのか、座るやいなや、経を呪文する声が半分眠りながら唱えているようで、全く持って憎たらしく不謹慎。
※忙しいとき、立派な方が訪ねて来られ、帰らない。箒を立てはやくかえってと祈る。髪の毛も黒、墨も黒、異物混入すると字も乱れる。祈祷する験者も居眠りしながら、やるのは物の怪も退散しないでしょう。

□たいしたこともない人が、笑みをたたえて、気のきいたような事を喋りまくることは鬱陶しい。火桶の火、炭櫃などに、手の裏や表を返し、さすったりなどして、あぶっている者は見苦しい。いつ、若い人などが、そんなことをしたろうか。年寄りじみた者こそ、火桶の側に足を持ち上げて、喋りながら押しつけすりあわせる、そんな老人は、人の家に来て、座ろうとする所を、まづ扇でほこりを吹き散らして、はき捨て、座るときにはごそごそして、狩衣の前の部分を巻きこんで座るようだ。こんな無粋なことは、話しにもならない者がやるのだと思っていたが、すこし身分の立派な者で、式部の太夫などというのが、しているなんぞは、恥ずかしきかな。
※礼儀作法からいえば、火桶の回りに座る場合でも、品良くすべきなのだが、下層階級でない貴人でも、と厳しい目で清少さんは、観察され随筆に書かれている。こんな事を書かれた、当人はだれだろうか。読んだら、どう思うだろうか。箇条書きにして、色々なケースを記述されているが、これはどう解釈したらいいのだろうか。兼行法師はこんな些細なことに、こだわりをもたなかったような気がしますが。まだ読み始めなので、清少さんの偉大さがわかりません。



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