第85話 四六2 行成の己を知る者のために 

文字数 384文字

□それ程、見え聞こえてくる所では、偉そうに筋など立てたことはなく、ただ普通に振舞っているから、皆は平凡な人だと思っているようだが、なほ私は彼の奥深き心ざまを見知っているので、(清少)「彼は凡人ではありませんよ」など、中宮の御前でも申し上げるのですが、また、中宮も凡人ではないことをご存じなようである。常に(行成)「『女は自分の事を喜んでもらえる者のために、顔にお化粧をする。士という者は、自分を認めてくれる者のために死ねるのだ』と言う事もある」と、私と頭の弁と言い合わせ、頷きたまわれており、彼の才覚を私が認めていることをご存知だった。
※内に秘めた頭の弁の才能を、清少納言様は見抜いており、中宮にもその話をし、中宮も彼の心根をご存知のようだった。優雅や風流を嗜みとする当時、士たる者、主君の為に死ねるほどの、心意気を持っているなんて、他の女房はこいつ堅物と思っている。
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