第161話 105 見苦しきもの

文字数 453文字

着物の背縫いの所を、かた寄せて着ている。また、着物の襟を後に引き下げて、えり足を見せるような、のけ頸をしたもの。いつもと違うひとが来た時に、子供を背負いてでてくること。法師で陰陽師であるものが、紙冠をつけてお祓いをしている様。
 色が黒くて醜い女で鬘をしていながら、ひげもじゃで、やつれて、やせこけた男と、夏、昼寝したのは、とても見苦しい。どんな見る甲斐があって、そういう昼間から寝たりしているのだろうか。夜などであれば、容貌もはっきりは見えず、また、皆ほとんどが寝ているのであるから、私は醜いからといって、夜中おきている者はいないだろうに。だから朝早く起きて、目を覚ましているのが尋常というものであろう。夏、昼寝して起きたというのは、高貴な人ならば、少しは風情があるというものだが、見苦しい容貌の者は、脂ぎり、寝腫れて、悪くすると頬がゆがみなどしてしたりする。お互いに顔を見合わせたりした時には、生きた心地がしないほど味気ないものだ。痩せて、色の黒い人が、生絹のひとえを着ているのも、ひどく見苦しく見える。
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