第143話 八四2 すばらしきもの

文字数 358文字

博士の才能がある者は、素晴らしいというのも言うまでもないことである。顔も憎らしそうで、いと身分のひくいものであるけれど、畏きひとの御前に近づき参りて、あることをお問いあわせになり、御文の師匠としてお仕えするのは、羨ましくも、お目出度きことと思われる。願文や臣下からの建言や祝辞、官職の拝辞などを記して天皇に奉る文書である表、詩歌の序などを作り出しておほめにあずかるのも、とてもめでたしである。
 法師の才能がある者は、これはまた、言うべくもない。
 皇后の昼の行啓。摂政、関白の御外出。春日詣で。葡萄染めの織物。すべてなにもなにも、紫のものは、目出度いものである。花も糸も紙も。庭に雪が厚く降り敷いている様。摂政、関白。紫の花の中には、カキツバタが、すこし悪い。六位の蔵人の宿直姿が素晴らしいのも、紫である故なのだろう。
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