第132話 八〇ー2 則光と仲たがい

文字数 530文字

このようにお互い語らい親しかったのだが、なんとなく仲たがいをすることになった。則光から手紙が来て「お互い不都合なことが
ありましたが、なお妹背の契りをしたことをお忘れでないならば、他所に私がいても、則光がいるなとちらとでも見て貰いたく思います」と買いてよこした。。
いつも彼が言っていたことだが、(則光)「私に好意をもってくださるならば、歌は苦手ですので、歌を送って来ないでください。もし送られてきたならば
仇敵と思ってしまいます。もうこれきり絶交と言うときは、歌を送って寄こしてください」などと言っていたので、その返事として、
  (清少)崩れ寄る妹背の山のなかなればさらに吉野の河とだに見じ
意味:(妹背の山)もくずれてしまった間なのですから、ふたりの仲もこわれて、仲よしの吉野の河もながれなくなりましたね。※歌の表現が実に面白いですね。吉野を仲良しとかけるのですか。平安の高貴な方々は、歌のやりとりが実に巧みですね。現代の歌は返歌というものを意識しない※
 と書いて則光に歌を送ったのだが、本当にこれを見ないでしまったのだろうか、返事も戻ってこないままだった。
さて、彼も冠を得ることになり、遠見の介に昇進したようである。仲たがいしたまま、疎遠になってしまっている。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み