第138話 八三5 雪山に十四日に雨が

文字数 804文字

に物をねだったりして嫌がられているのだが、果物や何やかとした物を、たくさん上げたところ、とても喜んで、(木守)「いと易きことです。たしかにこの雪の山を守ってまいります。子供たちが遊んで上りそうな気がいたしますが」などと言うので、(清少)「それを厳しく制して、それで言うことを聞かない子供がいたら、こちらの方へ申し上げなさい」などと言い聞かせた。中宮が内裏へ入らせたまわったので、七日まで御傍にいて、里に退出した。その内裏にいた時も、この雪山のことが気がかりだったので、朝廷に仕える者で、掃除の女官や雑用の女官などを、絶えずチェックさせに行かせた。七日の節句の供物のおさがりなどをやったところ、伏して拝んでいたなど話があり笑いあっていた。里に下っている間も、まづ夜が明けるとすぐに、この雪山が大事はないか見にやらせる。十日の頃、(使)「あと五日持つくらいの雪はあります」と言うので、とても嬉しく思う。また昼も夜も人をやってみさせるうちに、十四日の夜に、雨がひどく激しく降っているので、こんな状況だと雪山は消えてしまうかもしれないと、不吉な想いに苛まれ、今一日、二日も持ち続けてほしいと、夜の間も起きて心配し続けていると、まわりで聞く人も、狂気じみていると笑う。出かけていく者もいるので、そのまま私は起きていて、下衆を起こさせるのだが、なかなか目を覚まさないので、ひどく憎らしく思い腹がたってくる。やっと起きてきたので、雪山を見にやらせたところ、(使)「円座のように雪はのこっています。木守が一生懸命に守っておりまして、子供も寄せ付けないようでございます。(木守)『明日か明後日までは、残っていることでしょう。ご褒美のほうよろしくお願いします』と申しておりました」と言うので、ひどく嬉しくて早く明日になったら、歌を詠んで物に入れて、中宮のところへ持っていかせようと、思う。それにしても、心もとなく心配でならない。
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