第70話 三七5 ゆずり葉・柏木・棕櫚

文字数 424文字

□ゆずり葉の、いみじうふさふさとして艶っぽく、茎はいと赤くきらきら輝くように見えたるこそ、風変わりだけれど、美しい。全ての月には、見えないものの、師走のつごもりのみ賑やかに、亡き人の食べ物の下に敷く物かと思うと、あはれに思えるけれど、また、寿命をを延ばす歯固めの食事の具としても、使っているようだが、いかなる理由によるのだろうか。古い歌に「旅人に宿かすが野のゆづる葉の 紅葉せむ世や 君を忘れむ」と言いたるも、変わらぬ愛を表現するのも頼もし。柏木、いと心引かれる、葉守の神がいらっしゃるという、かしこくも恐れ多し。歌に兵衛の督、佐、尉などと言うのも、面白い。姿が様にならないけれど、棕櫚の木は、異国の唐の風情があり、身分賤しき者の家にあるものには見えない。
※ゆずり葉を師走つごもりの際、供物の食事の下に敷くのですか。その葉についての古歌を引用するなど、奥深いですね。枕草子は。木々の表現に、古い歌に用いられた例などだしたり、棕櫚の表現も面白い。
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