閑話19「封印は既に解けておる」のぢゃ!

文字数 1,091文字

【閑話19】 

 神の御代の話ぢゃ。
 「地球を支配する神界」を主宰する大神は、それはそれは厳格な神様ぢゃった。
 その治世に不満を募らせていた八百万の神々は、遂にクーデターを起こすのぢゃった。

 八百万の神々が謀議し力を合わせて、その大神と妻神を諸共に、地球の地下深くに埋めてしまい、その場所に封印の要石を置いたのぢゃ。

 その封印の要石である島は、ちっぽけな島国ぢゃったが、新しい支配者である八百万の神々の代表、天照皇大神を深く信仰する人間を数多く住まわせ、 また、天照皇大神の子孫をその島国に降下させて、要石であるその島国の守りとしたのぢゃよ。

 その要石の島国が、左様、日本なのぢゃな――。

 しかし、永い年月を経て、その要石も揺らぎ始め、遂には地下深くに埋められていた大神と妻神が、とうとうこの地上界に出現してしまったと云われておるのぢゃ。

 まず、日本の南西方向に埋められていた妻神の「坤の金神(ひつじさるのこんじん)」が出てきた。
 これは、阪神大震災の際に出てきたと云われておる。

 次に出てきたのが日本の東北地方に埋められていた大神の「艮の金神(うしとらのこんじん)」が出てきた。
 これは、左様、東日本大震災の際に出てきたと云われておるのぢゃ。

 なぜに、封印されてあたはずの、この夫婦神が相次いで地上界に出現してしまったのか?
 それは、この日本に於いて、要石の守人となるべき日本人が、天照皇大神を始めとする八百万の神々を信仰しなくなってしまい、八百万の神々の守りの力が弱くなってしまったからぢゃと云われておる。

 でな、艮の金神が出現した事は、神々を信心する人達の間では、「この文明社会の終わりの始まり」 と云われておるのぢゃわい。
 実際に、東日本大震災の後には、日本ばかりか、世界的にも大規模な自然災害が頻発し、現在は新型ウィルスのパンデミックに世界は揺れておる。

 天照皇大神を始めとする八百万の神々は、人間を代理として地球を治めさせようとしてきたが、 その人間共は、 親神である八百万の神々を信仰しなくなり、しかも地球を治めることに失敗しつつある状況ぢゃ。
 一方、夫婦神の金神は、「地球を守るためには、人間が滅びても構わない」というスタンスなので、人間共の姿勢と行動が変わらなければ、近々、人間共は金神に滅ぼされてしまうぢゃろうとの事……。

 今現在も、この地球の神界では、新しい神々である八百万の神々と、旧い神である金神とが、地球の覇権をめぐって戦っておるそうぢゃが、現在は、新しい神々の分が悪いそうぢゃ。

 それは、新しい神々の代理人である人間が、肝心の新しい神々を信心しなくなっているからぢゃ!と云われておるらしいわい。
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