閑話11「蟻んこ帝国の滅亡」なのぢゃ!

文字数 1,008文字

【閑話11】

 「コリナイの(その)」の、庭の方に帝国を造っている蟻んこどもは、まだ「帝国の崩壊」で済むけれども、玄関先に帝国を造っている蟻んこどもは、その未来に「滅亡」と云う悲惨な運命が待っておるのぢゃ。

 「コリナイの園」を(つかさど)っている男神は、虫たちにも心優しき神なのぢゃが、女神の方は、玄関先に蟻んこの姿を認めただけで、目を吊り上げて「キィィ~ッ」と奇声を発っする、虫嫌いの恐ろしい神なのぢゃ。

 もう、こうなった女神に目をつけられたら最後、蟻んこ帝国には、滅亡の道しか残されておらんのぢゃ!

 その日のうちに、女神は蟻んこ帝国の入口に、除草剤と云う毒薬を、たんまりとまくのぢゃ。
 すると、巣穴の周りにいた蟻んこどもが、女神から振りかけられた謎の粉によって、身体が震え出し、しまいには手足がもげて 、苦しみながら死んでいくのぢゃ。
 帝国の内部にも、次第に謎の粉が入り込み、苦し紛れに続々と外界に出てきた蟻んこどもも、次第に身体が震え、手足や胴が千切れて絶命してしまうのぢゃ……。

 しばらくすると、蟻んこ帝国の周辺では、蟻んこどもの無惨な遺骸が散乱している、阿鼻叫喚の地獄絵図が広がることになるのぢゃ……。

 翌朝、そのような光景をしゃがんでジッと見つめる男神は、「儂を恨むでないぞ、恨むならあの鬼女神を恨むのぢゃぞ」と、そっと手を合わせるのであった……。

 中国の故事に、「南柯(なんか)の夢」と云うものがあるのぢゃがな、ある男が大木の根っこを枕に昼寝をしているうちに、夢で蟻の国に(いざな)われる、と云うような話なのぢゃが、「コリナイの園」の女神は、庭では絶対に昼寝できんな。

 なぜなら、夢で蟻んこ帝国に連行されて、蟻んこどもの裁判を受けたら、蟻んこ虐殺の罪で極刑になるからぢゃ。
 夢ならいいが、蟻んこ帝国の奴隷となって、死ぬまで働かされたりしたら悲惨ぢゃぞ(笑)

 しかしぢゃ、2週間ほどするとぢゃな……、滅亡したはずの帝国の出入口から、蟻んこどもがチョロチョロと出入りしているのぢゃ。

 帝国の奥の奥に避難して隠れていた奴らが、生き延びて細々と帝国の再建を図っておるのぢゃな。
 男神はその姿を見て安心し、帝国の出入口のそばに、メダカの餌をパラパラしてやると、蟻んこどもは喜んで、それをエッサホイサと帝国に運んで行くのぢゃ。

 蟻んこの生命力は強いぞよ。
 また、それについては面白い話があるので、また今度ぢゃ!
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