閑話3「子供は純真?」なのぢゃ!

文字数 1,282文字

【閑話3】

 前回の閑話で取り上げましたる、グレタ・トゥーンベリ女史ですがな、彼女が自身の信じる環境保護活動を本格化し、大々的にメディアに取り上げられ世界的に有名となったのは、5年前の2018年彼女が15歳のみぎりのことだったそうぢゃな。

 いたいけない15歳の少女が、地球温暖化防止活動の一環として、登校拒否ストライキ運動を世界中の同世代に訴えかけたことが、センセーショナルにメディアに取り上げられ、一躍環境活動の寵児となった訳ぢゃな。

 彼女が訴えた環境保護活動とは、「化石燃料を使うな! 二酸化炭素を出すな! 地球温暖化を防げ!」
 と云うまことにスタンダードな地球温暖化説で、こんな話、頭の禿げかかった、見た目儂のような大学教授や研究者が、今更世界に向けて発信したって、世間の耳目を集めることなんて無理な話ぢゃて。

 つまり、散々言い尽くされて、耳タコになっておる「地球温暖化説」を再度クローズアップさせるためにお膳立てされたのが、「グレタちゃん運動」だった訳ぢゃ。

 だってさ、例えば日本のどこかで、無名の中学生が「地球温暖化防止」を訴えて街頭演説したとして、どのレベルのニュースになると、皆の衆は思われますかの?

 ローカルニュースにはなるかもしれん、うまくいって朝のワイドショーに取り上げられ全国ニュースなるかもしれん、しかし、それも一時(いっとき)の話ぢゃろう。
 断言するが、日本発信の世界的ニュースになることはない!

 では、なぜ「グレタちゃん運動」は世界的ニュースになったのか?
 それは、世界的ニュースになるようにマスコミにお膳立てされたからぢゃ。

 で、15歳の中学生グレタちゃんが、鬼気迫る顔して「私たちの未来を返せ!」と訴える姿を画面で見た、善良な方々、特に善良な婦女子の方々は、「まあ、純真な少女がこんなに必死に、こんなに真剣に訴えているなんて感動だわ。化石燃料を使うのは悪だわ」

 とお考えになる訳ぢゃな。
 で、その思考回路のなかで、重要なキーワードが「純真」「真剣」「必死」ぢゃろう。

 んで、以下に引用しましたのは、太宰の『純真』と云う小品の抜粋ぢゃ。
  
【「純真」なんて概念は、ひょっとしたら、アメリカ生活あたりにそのお手本があったのかも知れない。たとえば、何々学院の何々女史とでもいったような者が「子供の純真性は尊い」などと甚だあいまい模糊たる事を憂い顔で言って歎息して、それを女史のお弟子の婦人がそのまま信奉して自分の亭主に訴える。亭主はあまく、いいとしをして口髭なんかを生やしていながら「うむ、子供の純真性は大事だ」などと騒ぐ。親馬鹿というものに酷似している。いい図ではない。
 日本には「誠」という倫理はあっても、「純真」なんて概念は無かった。人が「純真」と銘打っているものの姿を見ると、たいてい演技だ。演技でなければ、阿呆である。家の娘は四歳であるが、ことしの八月に生れた赤子の頭をコツンと殴ったりしている。こんな「純真」のどこが尊いのか。感覚だけの人間は、悪鬼に似ている。どうしても倫理の訓練は必要である。】

 太宰の慧眼ですわな。ケケッ(^_-)-☆
 
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