閑話55「邪道のビール」なのぢゃ!

文字数 789文字

【閑話55】

 真夏の独身飯のお供に、冷えたビールは欠かせませんがの、儂のビールはですな、ビール愛好家のうるさ方の皆の衆からは、「邪道!」とお叱りを頂戴しそうな代物でございますのぢゃ。

 儂しゃ、生温いビールが大っ嫌いでしてな、どこまでも冷たく飲みたいのでな、季節に関わらずビールには氷を入れますのぢゃ。
 まずこれが、邪道その1ぢゃな。

 次にですな、儂しゃ、強炭酸くらいの喉ごしを好みますのでな、ビールの炭酸だと物足りんのですわい。
 そこで儂はビールを炭酸で割るのですのぢゃ。
 これが邪道その2ぢゃな。

 で、ある時、レモン炭酸でビールを割ってみたらば、レモン・フレーバー・ビールがめっちゃ爽快な旨さでしてな、それ以来、病みつきになっちまいましたのぢゃ。

 ここまで来ると、ビール愛好家のうるさ方の皆の衆からは、「もはやビールにあらず!」と叱責をたまわることでありましょう。
 まあ、儂も「ビール、ビール」と連呼しておりますがな、儂の場合、酔いたいから飲むのではなくて、食事を引き立ててくれるビールの味わいが好きなのであって、ビール味の飲み物なら、発泡酒でもノンアルコールでも一向に構やせんのですわい。
 特にこんな猛暑の夏には、酔うと身体が火照って汗を書きますのでな、最近はもっぱらノンアルコールビールのレモン炭酸割りをやっておりますのぢゃ。

 しかしなんですな、前回まで連々(つらつら)と述べておりました、儂の独身飯の話でしたがな、あんな粗末な晩飯でも、好きなビールが一杯あるだけで、居酒屋の肴のように感じられるので不思議ですわい。

 まだ暮れる前に一風呂浴びた後
、独身飯の品々をテーブルに広げて、それらをつまみながら、冷たいオリジナルビールを()るのは、まったくたまりませんなあ。

 その時だけは、「ぷはぁーっ!この暑さ、もっと続いてもいいわい」なんぞと、たわけたことを思うてしまう儂でございますのぢゃ。
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