閑話24「SDG’sぢゃて?」その10

文字数 1,103文字

【閑話24】

 前回までは、京の都の“公衆便地”のお話を滔々と開陳してきたわけですがな、 今回は、その“公衆便地”をいったい誰がキレイキレイしていたか?っつーことなのですぢゃ。

 あの“食糞(じきふん)餓鬼草子”に描かれておりましたような、京の都の民衆がお出しになったブツの数々は、あまりそこには堆積しなかったようですのぢゃ。

 京の都には、優秀な清掃員が数多(あまた)存在しておって、出されたブツはすぐに清掃されておったようですわい。
 その優秀な清掃員とはの……、皆の衆お分かりになりましたかの?

 それはのう……、ワンちゃんなんで~す。
 そう、犬ぢゃよ犬。

 “食糞餓鬼草子”に描かれております、あの餓鬼共がワンちゃんに代わったと思えばよろしいのぢゃ。

 現在の“ペット天国”の世に、こんな事を書きますと、色々と差し障りがあるかもしれませんでの、 ここまで読んで顰蹙なされたお方は、この後はお読みになりませぬよう、謹んでお願い申し上げますわい。

 人間の消化器官は、そもそもあまり優秀には出来ておらぬようでな、摂取した食物栄養の2割しか体内に取り込めないそうぢゃな。
 つまり、日々排泄されるブツには、摂取した食物栄養の8割が残存しておるのぢゃと。

 であるゆえに、ブツは大変優秀な肥料である下肥になる訳ぢゃがな、はるか北極の地で、犬橇を引くワンちゃん達は、もう好んで、人様のひり出すブツを食されるそうですわい。

 誤解無きよう言うておきますがの、無理矢理ではなく、彼らが好き好んで、大好物として食しておるのですぞい。
 彼らも、出来たてのホヤホヤが美味しいらしく、飼い主のイヌイット方々が外でしゃがむやいなや、お尻めがけて突進してくるそうですのぢゃ。

 これは、長年イヌイット文化を現地調査してきた人の本に書いてあったことぢゃから、嘘は無いと思いますぞい。

 で、話は平安の京の都に戻りますがの、当時は犬のほとんどは野良で、武士だけが、狩りのために大型の犬を飼っていた程度ぢゃ。
 当時の“洛中洛外図屏風”には、野良犬の首に輪っかを掛けて捕まえようとしている、“犬取り”の姿が描かれておりますがな、これは、“犬追物”と云う武士の武芸大会に必要な犬を揃える商売をしておった輩ですわい。

 この“犬追物”、一回の大会で150匹、多いときには300匹、ときには500匹や1000匹の大掛かりなものもあったそうぢゃがな、それほどの数の犬が、四五日の内に集められたと云うのぢゃから、京の洛中洛外には、それ相応の数の野良犬がおったのぢゃよ。

 おお、話の佳境で、爺カラータイマーが点滅しましたわい。
 では、皆の衆、また次回を待て!
  (;-ω-)ノ
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