閑話4「近未来?」なのぢゃ!

文字数 1,262文字

【閑話4】

 こないだまで、NHKで『藤子・F・不二雄のSF短編ドラマ』をやっておりましてな、儂しゃ、大層面白く観ておりましたのぢゃ。
 そのエンドロールで、ドラマのシーンと漫画のカットが並んで出てくるのぢゃが、それがまた興味深くてのう、さっそく書架から原作の短編漫画文庫を取り出し、読み返して見比べてみたりしましたのぢゃ。

 で、作品集に収められた『間引き』と云う漫画の登場人物の台詞が、なかなか興味深かったのですぢゃ。

「ご存知の通り1980年現在、世界の総人口はついに45億に近づいた!!

「一方、食糧の増産ははるかにこれを下回り、日本ではついに配給制度が復活し……」

 1974年の発表の作品ぢゃからの、発表当時から6年後の近未来が、食糧危機に陥っておる世界を描いておる訳ぢゃな。

 で、それから約50年後の現在、とうとう2022年11月に世界の人口が80億を超えたとのニュースがあったばかりですわい。

 50年前の人々は、「世界人口が45億人になったら世界的食糧危機が到来!」と認識しておったと云うことぢゃが、現在はなんと、その1・7倍の80億ですぞ!
 でもって、国連の予測では、2050年から2060年の間に100億人に達する、とのことですわい。

 2023年現在、80億人になっても、まだ世界的な食糧危機の状況には陥っておりませんがな、しかしながら、異常気象が恒常的になっており、大規模災害が頻発し、世界的な戦争も懸念される現在の状況を見回しますとな、30年後に100億人を超えた地球は、おそらく、かなり深刻な状況に陥っておるぢゃろうな……、とお先真っ暗な予測しかできない今日この頃でございますのう。

 ただ、人類は100億人に達する前に徐々に人口減少に転じるとの予測もあるようですがの、まあ、いずれにせよ、儂の孫が働き盛りの大人になり、世界人口が100億人になった地球が、悲惨で壊滅的な状況でないことを、祈るしかありませんわい。

 で、70年代の人々が、近未来に起こるであろう、世界的食糧危機の最終解決策として考えていた方法がエグいのですぢゃ。

 それは、藤子・F・不二雄先生のSF短編漫画にも、よく描かれておりますし、1973年に公開された『ソイレント・グリーン』と云う映画が、その極めつきでありますな。

 この映画の設定年代が2022年、つまり去年でした(笑)
 世界的食糧危機に陥ったその時代、老人の皆さんは、ホームと名付けられた「公営安楽死施設」で、自ら進んで自殺して下さい!と云う、年寄りには嫌な世の中になっておるのぢゃよ。
 映画の話は、老人の安楽死を起点にして、更にエグいストーリーになっておりましてな、ソイレント・グリーンとは、その時代に開発された人造食糧の名称ですのぢゃ。

 まあ、現実の2022年はそんな時代にはなっておらんがな、この後、20年後にはどうなっておるか分からんぞな。
 でも、もし20年後の世界で、儂が進んで安楽死することで、孫たちが助かるなら、儂しゃ、喜んで死ぬることでありましょう。
 ケケッ(^o^)v
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