閑話38 「続・読みたくても読めん」のじゃ!

文字数 871文字

【閑話38】

 すると龍田、鼻の穴をおっぴろげてぢゃな、

「先生!先生からそんな話を伺うとは、夢にも思いませんでした!
 本来、日本の文章は縦書き!しかし、私は我慢して志を曲げて横書きで投稿しているのです!
 それに加えて、先生は、意味の無い改行を無闇にやれと仰るのですか!
 あんなネット特有の改行なんて、文章作法に反してます!私は絶対にやりません!やるくらいなら投稿を止めるのぢゃ!」
(おい、おい、龍田、お主いつから儂になった?)

 と大変な鼻息、大変な剣幕。
 マスクをしてなかったら、彼奴の飛沫(しぶき)で、儂の顔がべちゃべちゃになるとこであったぞ。
 まっ、彼奴の言い分は正論ぢゃ、本好きの小説好きなら誰もがそう思っておるぢゃろうな。

 ならばと、儂はこう言ってやったのぢゃ!

「お主は最初から志を曲げて、横書きで投稿しているのであろう? 要は変節したのぢゃ。
 本当の志ならば、横書きのさいと(・・・)には、はじめから投稿せんはずぢゃ!
 で、お主は多くの人に読んで欲しいのであろう、特に、この老眼ですまほ(・・・)を虫眼鏡で覗いている儂に読めと言うのなら、ちっとは年寄に優しい書き方にしてもバチは当たらんぞ。
 お主の大好きな太宰は、人を憂えるのが優しさだと言っておるではないか……。ふむふむ……」

 それに答えて龍田曰く、

「分かりました。少し考えてみます。でも約束は出来ませんよ。ふんっ!」

 と、捨てぜりふを残して帰っていったわい。

 で、二、三日して、龍田の小説を覗いてみたら……、今の様になっておったわい。 
  それからは、龍田の小説が読みやすいこと読みやすいこと……。
 特に、込み入った説明や小難しい描写のところは、改行していると大層読みやすくて頭に入るわい。

  ねっと(・・・)に掲載された文章で、これはっ!と思い、読み始めたものの、縦書き文章作法で書かれた横書きのものは、眼が疲れて、根気が続かなくなって、斜め読みになって、遂にはあきらめてしまったことが多々あって、残念ですのぢゃ。

 この閑話の改行だって、実は効果を考えて練りに練って行っているのですぞい。
 ふぉっふぉっふぉっふぉ
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み