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文字数 422文字

 オレたちは、交代に天体望遠鏡で夜空をながめた。

 さすがにでかい天体望遠鏡で見る夜空は、息をのむほどのスケールで、その宇宙空間の中に漂う無数の星々に圧倒される思いだった。

 オレはUFOを見れなくても、こんな鮮明な夜空を見ただけでも十分に満足だった。

「どうや、きれいに見えるやろ」

 飲んべヤスがみんなのほてった顔を見て、満足気にいう。

「オレもにや、こうやって天体観測をはじめてもうかれこれ三十年になる。オマエらの年くらいからずっとこうやって夜空を見続けてきたけんど、いまだにあきんもんにや」

 飲んべヤスが、酔ってしまりのなくなった顔を、さらにしまりなくして、とろんとした目でそういう。

「おんちゃん、もう一時間ばぁたっちょうけんど、UFOは本当に出るが?」

 ユウコがしびれを切らしてそういう。

「オマエみたいに、あせったち見えるもんやない、UFOはにや、邪念があるもんにはなかなか見えんがよや……、ホラ、もうそこに出ちょうやいか」

「エッ、ウッソー!」

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