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文字数 334文字

 二学期の最大のイベントである運動会が近付いていた。

 この頃の田舎の保護者が、子どもたちの様子を見るのは、運動会だけといってもよかった。

 オレは走るのが速くて、ずっと紅白リレーの選手に選ばれていた。

 シンヤがいたときは、どうしてもシンヤには勝てなかったが、シンヤがいなくなった今、オレは学年でタッチンと一、二を争っている。

 タッチンはすねて泣くだけでなく、走るのも速いのだ。

 女の子では、ガチャコとユウコが学年でトップクラスであり、リレーの選手だった。

「ヨウイチは、オレに似いて走るがん速いけん良かったにや」

 父親が、運動会が終わった日の夕食のとき、バカのひとつおぼえみたいに同じことをいう。

 オレをほめているのか、自分のことを自慢しているのか、わからないのだが……。


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