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文字数 325文字

 オレたちはゴールでタッチンが帰ってくるのを待っていた。

 ゴール地点から、百メートルくらいは直線になっており、ランナーが走ってくる姿を見ることができる。

 最初、ケンゴの姿が見えたときには、やっぱり負けたかと思ったが、すぐ後にタッチンの姿が見え、オレたちは歓声をあげた。

 タッチンが鬼のような顔をして、ケンゴを追いかけている。

 ケンゴも最後の力をふりしぼって、走っている。

 ゴール地点に集まっている、見物人や大会関係者や次におこなわれる一般の部のランナーたちも驚きの声をあげている。

 オレはこんな真剣な顔をして走るタッチンを、はじめて見た。

 オレたちは大きな声で、声援を送った。

 ラスト二十メートルほどに迫ったとき、タッチンがついにケンゴに追いついた。
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