３９

　オレとユウコとガチャコがゴテンを訪ねると、ガウンを着た飲んべヤスが玄関から顔を出した。

「おう、ようきたにゃ。まあ上がれ、紅茶とジュースどっちがええぞ？　アイスもあるけんど、食べるか？　ユウコ、オマエが冷蔵庫の中から、友達の食べたいもん選んでだしちゃれや」

　そういうと飲んべヤスは応接室のソファーに座り、飲みかけのウイスキーを飲んだ。応接室には高そうなシャンゼリアが天井から吊り下げられている。

　クラシック音楽のＬＰレコードを聴きながら、ウイスキーを飲んでいる田舎のおっさんなど見たことがないオレは、飲んべヤスが噂とは違い高尚な大人に思えた。

　オレたちは、オレンジジュースを飲んでアイスクリームも食べた。

「おんちゃん、このアイス食べたら、はよう天体望遠鏡でＵＦＯ見せてや」

　ユウコがアイスクリームを食べながらいう。

「おう、そんなにせかすな。ＵＦＯもにや、見たいけんゆうたち、いっつも見れるもんやないけん、慌てたちいかんがよや」

　そういって、飲んべヤスはウイスキーを飲み続けた。