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文字数 450文字

 飲んべヤス殺しの犯人が、捕まった。

 なんと、その犯人はゴンタの父親だったのだ。

 ゴンタの父親は、建設会社の社長だったが、ギャンブルで借金が増え、その借金の返済に困り、飲んべヤスの家の金を盗もうとした。

 深夜に飲んべヤスの家に侵入したが、たまたまトイレに起きた飲んべヤスに見つかり、もみ合いになったあげく、持っていたハンマーで飲んべヤスの頭を叩き、殺してしまったのだ。

 犯人が町内の、しかも飲んべヤスのすぐ近所に住むゴンタの父親だったことで、さらに町中が大騒ぎになった。

 犯人がゴンタの父親と聞いたときには、オレもビックリし、ショックを受けた。さすがに、ゴンタのことが可愛そうに思えた。

 しかしそれ以上に、仲良くなっていた飲んべヤスが、もうこの世に存在しないという事実が、寂しく、悲しかった。

 ゴンタと母親は、父親の逮捕からすぐに、逃げるように町から去っていった。どこにいったかは誰も知らない。

 オレは、あまりにも突然、飲んべヤスやゴンタが目の前から消えてしまったことに、ただただぼうぜんとしていた。


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