45

文字数 362文字

 オレは初対面のときから、人柄の良さそうな飲んべヤスが好きになった。

 飲んべヤスがアル中で、幻覚まで見ているということが気になって、学校帰りに何度かゴテンに寄ってみた。

 飲んべヤスは、オレが訪ねていくと、いつも喜び、家に上げてくれた。

 応接室で出されたお菓子を食べながら、飲んべヤスと一緒にクラシック音楽を聴いていると、飲んべヤスがみんながいうような悪い人には思えない。

 演歌しか聞かないような大人ばかりの住む田舎で、クラシックを聴くハイカラな大人なんて、カッコいいではないか。

 酒を飲むのも、自分の金で飲んでいるんだし、他人にとやかくいわれることはないと思う。

 酒を飲んで暴れたり、警察沙汰になるわけでもないし、特に問題ないと思うけど、町内の大人たちは、昼間っから酒を飲んでだらしないとか、飲んべヤスのことを悪くいうのだ。

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み