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文字数 312文字

 二月のある寒い日に、町内を驚かす大きな事件がおきた。

 飲んべヤスの家に強盗が入り、飲んべヤスが何者かに殺されたのだ。

 犯人はまだ見つかっておらず、町内では大変な騒ぎになっている。

 オレの家でも、この話題で持ちきりだ。

「だいたい、ヤスが現金を銀行に預けんと家においちょくけん、こんなことになるがよや」

 父親が夕食のとき、酒を飲みながらいった。

「ヤスオさんみたいなお金持ちは、みんなからねたまれるけんね、うちらみたいに、お金がないがんちょうどええがかもしれんね」

 母親が自嘲気味にいう。

「けんど、こんな小さな町で殺人事件がおきるらぁ、ほんま信じられん、犯人町内におるかもしれん思うたら、恐いちや」

 姉が嫌そうな顔でそういった。

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