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文字数 377文字

 じいちゃんが脳出血で倒れ、去年の暮れから入院している。

 じいちゃん以外には指導者がいないため、じいちゃんの入院中、道場は休みになった。

 本音をいえば、冬場の剣道は寒くて嫌だったから、オレはラッキーと思った。

 だって、面を打たれると耳がキーンと鳴るし、小手を防具じゃないところに打たれると、真っ赤に腫れて痛い。

 それにガチャコが練習にこなくなったせいで、オレまで剣道の熱が冷めてしまったのだ。

 じいちゃんは、二月になって退院したが、後遺症が残ったため、剣道ができる状態ではなくなり、道場は閉じることになった。

 オレは、このままずっと剣道ができないと思うと、さすがにちょっと残念な気がした。

 何よりスポーツが好きなオレは、野球も剣道もできなくなったことで、時間を持て余していた。

 そんな退屈な日々を過ごしながら、オレたちは間もなく六年生になろうとしていた。

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