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文字数 455文字

 紅白リレーは、運動会の花形だ。応援席の前をみんなの声援をあびながら走るときは、少しほこらしい。

 リレーの選手に選ばれるのは、もちろん嬉しいが、オレたちの学年は三十名くらいしかおらず、しかも足の遅い奴ばかりだからちょっとだけ足の速いオレでも選ばれるのだ。だから、本当のことをいえば、リレーの選手といってもたいしたことはない。

 今回の紅白リレーで、オレはタッチンに抜かれてしまった。今まで総練習のときを含めて、リレーで抜かれたのははじめての経験だ。

「ヨウイチの今日の走りは、いまいちやったにや」

 と、夕食のとき酒に酔った父親がいった。

 オレは運動会の直前の剣道の練習で、足首をねんざして、思い切って走ることができなかったのだ。

 オレにしたら、リレーの最終コーナーでタッチンに抜かれたときは、悔しくてそのまま家に帰ろうかと思ったほどだ。

 バカみたいに喜ぶタッチンを見て、叩いてやりたいほど腹が立った。

 そんなオレの気持ちも知らずに、家でまた父親にそのことをいわれ、静まりかけていた腹立たしい感情がよみがえってきた。

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