2022/5『お勢、断行』

文字数 864文字

 作・演出の倉持裕さんの舞台は、振り返ると毎年コンスタントに観劇していて、今年も、この後『鎌塚氏、羽を伸ばす』を見に行く予定です。どれも、ビリヤードの玉のようにストーリーが転がっていくので、一瞬たりとも目が離せません。今回の『お勢、断行』も、二時間ほどの上演時間ですが、首から上の集中力がすごくて、終わると体がガチガチでした(笑)

 この作品は、『お勢登場』という前作があって、残念ながら、そちらは見ていないのですが、江戸川乱歩の短編に登場する悪女、お勢を主人公に、乱歩のいくつかの短編をモチーフに作られたそうです。『お勢、断行』は、オリジナルストーリーながら、乱歩の世界を思い出させる設定、モチーフ、登場する犯罪も大正時代の匂いがプンプンです。登場人物も、くせのある、何かあるげな人物ばかりで、また、それを演じる俳優さんが上手い方ばかりです。
 推しについて、の古田新太さんのところで触れた「流れ姉妹 たつことかつこ」以来の千葉雅子さんが、じわじわと存在感を増していく感じがすごく良くて、この感じ好きだなぁ、と嬉しくなりました。大空ゆうひさんの、宝塚男役の名残りが影も形もなくて、竹久夢二の絵のような寄る辺ない感じの美人ぶり(お背は高いのですが)も良かったです。
 主役の倉科カナさんは、声やしぐさに色気とあだっぽさが良い感じにあって、するりと(ネコ科っぽく)いろいろな場面に入り込む悪女お勢さんを魅力的に演じていました。危ういぐらいのまっすぐな娘役の福本莉子さんも、きれいな声で好演でした。
 ストーリーの説明は、思いだしながら書くとぐちゃぐちゃになりそうな、はしょるところがわからない複雑さなので、舞台のサイトなので見て頂く方がわかりやすいと思います。

 衛星劇場で8月20日(日)午後6:00から放映されます。
 

作・演出 :倉持 裕

音楽   :斎藤ネコ

出演   :倉科カナ 福本莉子
      江口のりこ 池谷のぶえ  堀井新太  粕谷吉洋 千葉雅子
      大空ゆうひ 正名僕蔵  梶原 善

劇場   :世田谷パブリックシアター
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