2023/9,10『天號星(てんごうせい)』ーギュギュッと凝縮新感線ー

文字数 2,053文字

 2023年劇団☆新感線43周年興行・秋公演 いのうえ歌舞伎「天號星(てんごうせい)」 、いつも通りフルに書くとタイトルが長いですね(笑)今回は4年ぶりに早乙女太一さんが新感線に出演!それも、また古田さんや池田さんと共演です。加えて、弟の早乙女友貴さん、山本千尋さんも、ということでチャンバラありきですよね、嬉しいなぁ。チャンバラ時代劇好きなので、発表されてからずっとわくわく気分で待っていました。

 天號星公式サイトより

元禄、大江戸八百八町――。
口入れ屋の藤壺屋主人・半兵衛(古田新太)は、裏で世のため人のため、悪党を始末する〝引導屋〟の元締めとして知られている。だが、実のところは顔の怖さを買われただけの、気弱で温厚、虫も殺せぬ置きもの。表も裏も、真の元締めは女房のお伊勢なのだった。
あるとき、金さえ積めば誰彼かまわず斬り殺す〝狂犬〟こと、はぐれ殺し屋の宵闇銀次(早乙女太一)が現れる。引導屋を潰し、裏稼業の独占を目論む黒刃組に依頼され、半兵衛を待ち伏せして斬ろうとする銀次。だがその瞬間、天號星の災いか、二人を雷が直撃! 半兵衛と銀次の身体が入れ替わってしまう。
そこへ銀次を追って上州から人斬り朝吉(早乙女友貴)がやってくる。朝吉は「銀次の首は自分がもらう」と言い始め、銀次の身体に入った半兵衛は、命からがら逃げ出すはめに。
一方、半兵衛の身体に入ったものの、引導屋の主人とは名ばかりと知って失望する銀次。だが自らの野望を叶えるため、この身体を利用することを思いつく……。
天號星に翻弄されながら、己を生きようとする二人。その運命が交差する先にあるのは果たして――!

CAST&STAFF

作 中島かずき
演出 いのうえひのでり

古田新太 早乙女太一 早乙女友貴
久保史緒里 高田聖子 粟根まこと 山本千尋
池田成志

右近健一 河野まさと 逆木圭一郎 村木よし子 インディ高橋 山本カナコ 礒野慎吾 吉田メタル 中谷さとみ 保坂エマ 村木 仁 川原正嗣 武田浩二

藤家 剛 川島弘之 菊地雄人 あきつ来野良 藤田修平 紀國谷亮輔 寺田遥平 伊藤天馬
米花剛史 武市悠資 山崎朱菜 本田桜子 古見時夢


 つまり、古田さんと太一さんが、気弱な良い人キャラと、冷酷無情な悪役キャラの両方を演じるわけですね。

 さて、観劇に入る前に、劇場にたどり着かなければなりません。歌舞伎町のど真ん中なんて、人生初めて足を踏み入れました。ほぼほぼ、スマホ画面と足元だけ見ながら突破した感じです。「THEATER MILANO-Za」は、環境がディープな繁華街のど真ん中すぎるのが、私には残念でした。
 それでも、中に入ってしまえば、新しくてきれい、座席数907人というサイズが絶妙で、舞台が近くて見やすい良い劇場です。今回は2回観劇できたのですが、一階席は臨場感がすごかったんです。コロナ禍で控えられていた客席降りが復活、というより舞台の一部のように使われたので、キャストが駆け抜ける風を感じ、通路での台詞では、舞台より低い場所なので近くで話してる人がいるように聞こえるというわけです。二階席では、舞台全体が見えるので、舞台上でのアクションの左右以外に前後の動きも堪能できました。それと、芝居が舞台の前方で進んでいる間も、その後ろで細かい芝居をしている劇団員の方たちも良く見えます。色々面白いことをしているので(笑)

 古田さん演じる半兵衛と、早乙女太一さん演じる銀次の入れ替わり、観ていて混乱しないかと心配でしたが、キャラの交代がはっきりわかる。顔つき、声、がぱっと変わるのはお見事。特に悪役キャラになると、二人とも、実にかっこいい。特に、銀次の心が入った半兵衛(古田さん)の出す低音の声が、渋かっこよい。早乙女銀次は、やはり殺陣。でも、今回は、入れ替わってからの早乙女半兵衛の剣修行のシーンが多い!体は動くけれど、中身が半兵衛なので刀が使えないんですね。だから、かっこいい殺陣を見せるシーンは貴重です。
 池田成志さんと粟根まことさん、吉田メタルさん演じる悪役三人組も、時代劇でおなじみの雰囲気で登場。そこからめちゃくちゃ笑いを取ってくれるので、憎めない悪役です。
 高田聖子さん、今回は可愛らしいところのある役、村木よし子さんがなかなかカッコイイ役どころ、と劇団員の大活躍も嬉しい。
 新感線初出演の久保史緒里さん、山本千尋さんが、一回目の観劇より二回目に観た時の方が、すごく良くなっている、と感じたのも嬉しいかったです。山本さんの殺陣もすごい!存分に披露してくれました。久保史緒里さんは歌をたくさん披露してくれました。

 と、見どころだらけなのですが、上演時間は休憩込みで3時間ちょっと。以外とコンパクトなんです。だから、面白さがギュギュッと凝縮されていて、あっという間に終わっちゃいました。笑えるし、アクションも楽しめるし、後味もよろしい、極上エンタメ作品でした。

 来春ゲキ×シネとして登場するそうですので、ぜひご覧ください、とお勧めします。
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