2021/11『THE BEE』

文字数 815文字

 NODA・MAP番外公演「THE BEE」は、私にとっては初めての野田秀樹作品でした。以前、NODA・MAP公演で申し込んだ抽選に外れ、落ち込んだ経験があります。仕方のないことですが、ガッカリするのも仕方ない。今回は、更に小さな劇場だったので、期待しない、期待しない、と念じて申し込んだら、取れました。
 そして、見れました。今は、突然、この期間は休演します、ということもあるので、チケットが取れても安心できませんから…。



 舞台上を占める一枚の大きな白い紙に映し出されるTVやドア、簡素な小道具は色々なものに見立てて使われる。そこに、脱獄犯に妻子を人質に取られた男が、妻子を救うために、脱獄犯の妻子を人質に立てこもる、というパラドックスのような展開で始まる狂気に支配された世界を、四人に俳優が作り出します。スピーディーで刺激的なストーリーと阿部サダオさんや長澤まさみさんの演技に引き込まれながら、このお芝居は何かの見立てなのか?と頭の中で輪郭がブレてくるのだけれど、考えが追い付かないうちに終わってしまいました。最初は抵抗や軋轢があった立てこもる男と人質の女が、だんだん支配者と被支配者として固定されていく様子は、そのまま現実の事件に重なるし、脱獄犯と男の報復合戦も、どこかで、あらゆる単位の間で同じようなことが行われています…。
 それにしても、俳優陣の演技、集中力の密度が濃い。阿部さんのパワーはわかっていたけれど、長澤まさみさんも、その素晴らしいプロポーションが肉体的存在感をしっかり持っていました。


原作:筒井康隆~「毟りあい」(新潮社)より~
英語脚本:野田秀樹&コリン・ティーバン
日本語脚本:野田秀樹
演出:野田秀樹

キャスト
井戸:阿部サダヲ
小古呂の妻 / リポーター:長澤まさみ
百百山警部 / シェフ / リポーター:河内大和
安直 / 小古呂 / 小古呂の息子 / リポーター:川平慈英

東京都 東京芸術劇場 シアターイースト

 
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