2021/4『白昼夢』

文字数 910文字

 4月頃なら大丈夫だろうと、早めにゲットしたチケット。無事に観劇できてほっとしました。今回もボッチ観劇の直行直帰です。下北沢は本多劇場でお芝居を観る時にしか訪れないので、本当はウロウロしたいところなのですが、人流が増やしてしまったわけですから、慎ましく行動します。
新しい生活様式、早く廃れますように…




 さて、今回の赤堀作品は、同じスペースでの5人の出演者のやりとりが、季節をめぐって展開されます。高度経済成長期に建てられた郊外の一戸建てのLDK。やもめの父親とひきこもりの中年の息子だけが同居しているその家に、ひきこもりの支援団体の男女と、サラリーマンの兄が訪れてきます。
 紅一点の吉岡里穂さんの、幸薄そうなファムファタル感が冒頭から何やら起こしそうです。吉岡さんの舞台を見るのは初めてですが、きれいで良くとおる声なので、舞台も続けてほしいと思いました。
 ひきこもりの息子は、荒川良々さん。ひきこもりだけど、どこか破壊力を秘めているような独特の雰囲気が漂うので、こちらも油断がならない感じです。やはり、他の4人が作る人間関係の平行四辺形を押してはひしゃげさせていきます。
 主演の三宅弘城さんは、ドラマ同様の人の好い顔から始まり、色々な顔を見せてくれました。豹変っぷりのキレの良さがいつもながら、素晴らしいです。今回は、大人の男の色気も見せてくれて、ドキドキです。
 俳優としても出演している赤堀さんは、支援団体の男性役。えっ、真面目な支援団体の人?WOWOWドラマの「誤判対策室」の悪役が印象的過ぎて、つい疑いの目で見てしまいました。
 昭和のサラリーマンの典型だった父親は風間杜夫さんが、老いを含めて、見事に表現していました。

 ひりひり、ひりひりと来ますが、あきらめて終わるような気配がない、それでも生きていくエネルギーが感じられる作品です。だよね、しょうがないよね、とため息をつきつつ生きていけば、どこかでまた楽しく笑える日もあるわけで、私も今の状況を乗り切っていこう。
 今回も、なぜか、パンフレットを読んで、爆笑のツボにはまりました。

■作・演出
赤堀雅秋
■出演
三宅弘城 吉岡里帆 荒川良々 赤堀雅秋
風間杜夫

劇場:本多劇場
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